KEKでは研究で蓄積された知見や加速器科学について一般の方に広く紹介し、興味や関心を持っていただくことを目的に年2回、公開講座を開催しています。
2022年度第1回の公開講座を7月23日(土)にオンラインにて開催します。参加をご希望の方は、事前申し込みをお願いします。
開催概要
「加速器で支える核医学」
- 13:30〜14:30(Zoomウェビナー開場 13:00頃)
- 「放射性医薬品原料と超伝導加速器」
- 原田 健太郎(はらだ けんたろう)KEK加速器研究施設 准教授
- 14:45〜15:45
- 「KEK-cERL加速器における製造実験」
- 東 直(ひがし なお)KEK加速器研究施設 助教
- 事前予約制(申し込みにはPeatixまたはconnpassへの会員登録が必要です)
- 対象 中学生以上
- 定員 300名(先着順)
- 申込〆切 7月
20日(水)22日(金)延長しました。
申し込みフォーム
KEK公開講座・申し込みフォーム(Peatixまたはconnpassへの会員登録が必要です)
個人情報の取り扱い
申し込みフォームに記載いただく個人情報は、本プログラムに関するもの以外の目的での利用や第三者に対する開示をすることはありません。
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- イベント終了後のアンケートのお願い
講義1
講師
高エネルギー加速器研究機構
加速器研究施設 原田健太郎(はらだ けんたろう) 准教授
概要
放射性同位元素(Radio Isotope, RI)を薬剤に組み込み、RIが崩壊する際に放出する放射線を検出して画像化することで、体の代謝や機能の健全性、腫瘍の有無などを診断することができる。
現在の日本で最も幅広く行われているのは単光子放射断層撮影(SPECT)で、1日約3千件、年間で約70万件(2017年統計)の実績がある。SPECTにはテクネチウム99mのRIが使われるが、日本ではその全てを、海外の原子炉で製造された原料の輸入に頼っている。海外の原子炉も老朽化がかなり進んでおり、最近廃炉となったものもある。そこで、各国で新たな代替供給方法の検討が進められており、電子加速器を使った製造法は最も有力な候補の一つになっている。
KEKでは宇宙の謎を解明するILC(国際リニアコライダー)計画実現のために、超伝導線形加速器の技術開発を行ってきた。超伝導加速器の特徴は安定して大強度のビームをコンパクトかつ効率的に発生できることであり、現在、その特長を活かした産業、医療応用の可能性が模索されている。商用の低エネルギー小型電子線照射器に比べ、超伝導加速器はもともと高エネルギーかつ大電流を目的として作られているため、加速器の中では最もRI製造に適している。
ここでは、医学的な診断と治療に利用されているRIの紹介、SPECT用のテクネチウム99mの製造法と代替案、超伝導加速器を使った場合の利点と課題について講演を行う。
講義2
講師
高エネルギー加速器研究機構
東 直(ひがし なお) 加速器研究施設 助教
概要
2019度より、医療用放射性同位元素 (RI)の生成実験がKEKつくばキャンパスのcERL加速器にて本格的に進められている。アメリカのスタンフォード線形加速器センターで行われているLCLS-IIプロジェクトやドイツのEuropean XFELなどの最新型自由電子レーザー (FEL)、またKEKが日本誘致を進めているILC (国際リニアコライダー)が採用する1.3 GHz超伝導加速空洞と同じタイプのものがcERLで使用されており、最大26 MVまで電子ビームを加速できる設計となっている。
今回cERL加速器に照射ビームライン及び照射室を新設し、実際の医療現場で広く利用されているテクネチウム99mの親核種であるモリブデン99の生成に成功した。本講演では、加速器の一般概論からcERLの特徴について解説し、RI生成のために行った改造と、それを利用した実験、及びこれまでに得られた成果について説明する。
問い合わせ先
- KEK広報室
- 電話 029-864-5113
- FAX 029-879-6049
- メール kouza@kek.jp