高エネルギー加速器研究機構 名誉教授 木村嘉孝先生のご逝去を悼んで 

高エネルギー加速器研究機構(KEK)名誉教授であり、物質構造科学研究所初代所長を務められた木村嘉孝(きむら よしたか)先生が、令和8年(2026年)7月17日に逝去されました。88歳でした。 

木村先生は1971年にKEKの前身である高エネルギー物理学研究所の設立とともに助教授として着任し、KEK12GeV陽子シンクロトロン(KEK-PS)の設計・建設に携わり、KEK-PSの成功に大きく貢献されました。その後はKEKにおける加速器研究の責任者として、電子・陽電子衝突型加速器トリスタンの設計・建設を主導し、世界最高エネルギーの電子・陽電子衝突実験を成功に導きました。1994年からは副所長として、研究所の運営や、Bファクトリー計画、ニュートリノ振動実験をはじめとするプロジェクトの推進に尽力されました。 

1997年には高エネルギー加速器研究機構発足と同時に創設された物質構造科学研究所の初代所長に就任されました。放射光研究施設の高度化計画、中性子・中間子研究施設の拡充計画、日本原子力研究所(現:日本原子力研究開発機構)との大強度陽子加速器施設(J-PARC)の共同建設計画を推進するなど、運営面においても、大きな足跡を残しました。 

また、高エネルギー物理学研究所運営協議員、科学技術・学術審議会専門委員、国立学校財務センター運営委員、総合研究大学院大学評議員、総合研究大学院大学数物科学研究科長を歴任されました。その研究業績に対しては、井上学術賞、高エネルギー加速器科学研究奨励賞を受賞するとともに、アメリカ物理学会フェローの称号を授与されました。さらに長年にわたる教育研究への顕著な功績により、平成28年(2016年)には瑞宝中綬章を受章されました。 

謹んで哀悼の意を表するとともに、生前に賜りました本機構ならびに我が国の学術研究への多大なご貢献に対して深く感謝を申し上げます。