Belle II 実験で本格的な物理解析のためのデータ取得開始

   

3月25日19時44分、大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構(KEK)がホストする国際共同プロジェクト「Belle II(ベル・ツー)実験」のフェイズ3運転にて、電子・陽電子衝突の本格的なデータ取得が開始されました。


電子・陽電子の衝突型加速器SuperKEKBと、その衝突点に設置された新生Belle II 測定器 は世界で唯一の「スーパーBファクトリー」実験施設です。小林誠・益川敏英両博士のノーベル物理学賞受賞に結びつく成果を残した前身の衝突型加速器KEKB(1999から2010年まで運転)は現在、電子と陽電子衝突型加速器のルミノシティ(衝突頻度)の世界最高記録を保持しています。このプロジェクトでは、KEKBの40倍のルミノシティという大幅な性能向上を目指して2010年から大改造に着手、2016年2月にSuperKEKB加速器を試運転させた「フェイズ1」、2018年3月にBelle II 測定器を用いて電子と陽電子の「初衝突」を観測した「フェイズ2」と、着実に歩を進めてきました。その後、Belle II 測定器の中心部に崩壊点検出器(VXD)を設置し、物理データの取得・解析を行う「フェイズ3」開始に向けた最終調整作業を行ってきました。そしてついに「フェイズ3」運転を3月11日に開始し、この度、ちょうど桜の開花に合わせるように、3月25日19時44分、Belle II測定器の中心で電子と陽電子が衝突する様子を再び観測しました。

SuperKEKB加速器はKEKBに比べて、衝突点におけるビームのサイズを20分の1に絞り込み、蓄積ビーム電流を2倍に高めることによって40倍のルミノシティを目指しています。さらに、Belle II 実験では、今後数年かけてBelle実験の約50倍のデータ量を蓄積し、宇宙初期に隠された新しい物理法則を探索します。

近年、B中間子などの崩壊に関する研究を対象とする「フレーバー物理」の分野において、新しい物理現象の存在を示唆する数々の兆候が得られています。大きくアップグレードしたBelle II 実験では、この分野における超精密測定を行い、標準理論では説明できない新しい物理現象や暗黒物質などの新粒子の発見を目指しています。

お問い合せ先

研究内容に関すること

  • 高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所
  • 教授 後田裕(うしろだ・ゆたか)
  • yutaka.ushiroda@kek.jp

  • 高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設
  • 教授 赤井和憲(あかい・かずのり)
  • akai@post.kek.jp

  • 名古屋大学 素粒子宇宙起源研究機構
  • 教授 飯嶋徹(いいじま・とおる)
  • iijima@hepl.phys.nagoya-u.ac.jp

報道担当

  • 高エネルギー加速器研究機構 広報室
  • 広報室長 引野肇(ひきの・はじめ)
  • press@kek.jp
  • 029-879-6047

関連画像

こちらの画像は、KEK公式サイトのイメージアーカイブからダウンロードの上、写真ごとに記載したクレジット表記を入れてお使いください。

Belle II Phase3の物理ランで観測した最初のハドロニック・イベント

Belle II Phase3の物理ランで観測した最初のハドロニック・イベント

Belle II Phase3の物理ランで観測したB中間子・反B中間子が生成したと思われる最初のイベント

Belle II Phase3の物理ランで観測したB中間子・反B中間子が生成したと思われる最初のイベント

衝突再開時のBelle II シフトルーム

Belle II Phase3での衝突再開時のBelle II シフトルーム

崩壊点検出器

崩壊点検出器

Belle II 実験のホームグラウンドである筑波実験棟の前の桜並木

Belle II 実験のホームグラウンドである筑波実験棟の前の桜並木(2018年3月撮影)

 

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