高エネルギー加速器研究機構(KEK)では、公平な機会の下、多様な人材が互いの違いを認め合って自らの力を最大限発揮し、活躍できる環境を実現する活動を推進しています。 DE&I(多様性、公正性、包摂性)と呼ばれるもので、その一環として、「人事選考における無意識のバイアスについて」をまとめました。
無意識のバイアスとは、誰もが潜在的に持っている偏見(バイアス)のことです。バイアスは日常生活のなかで脳に刻み込まれ、人間の判断に影響を及ぼすものとされており、組織や職場においては、人事評価の際にマイノリティーが不利益を受ける傾向が指摘されています。
■誰にでもありえる無意識の思い込み”アンコンシャス・バイアス”(政府広報オンライン)
https://www.gov-online.go.jp/tokusyu/unconsciousbias
KEKでは、今後も多様性に配慮するとともに、無意識のバイアスに対する理解を深め、より一層公平な人事選考の実現に努めてまいります。
人事選考における無意識のバイアスについて
- 無意識のバイアスは脳の機能に関連してすべての人に引き起こされる現象です。日常的な接
触では公平で学識のある人であっても、無意識のバイアスによって判断に歪みが生じます。自
らが無意識のバイアスの影響があることを知っていることで、このような歪みを修正するこ
とができます。 - 特に人事においては、
(1) 属性(性別、学歴、出身研究室、国籍、人種、年齢など)によって評価が変わる。
(2) 属性による過剰な配慮
(3) 自らの属性による自己抑制
(4) 属性を基準として無視したり、失礼な態度をとったりするマイクロアグレッション
などによって、判断が影響を受けることが考えられます。 - 人事選考に入る前に、選考基準を明確にし、選考委員の間で共有することは、バイアスの影響
を抑える上で重要です。
(1) 選考基準設定にあたっては、多様性の観点からライフイベントを経験した研究者への評
価が適性となるような評価基準を設定することが有効です。
(2) 人事委員会が適切と認める基準を満たす候補者を幅広く面接することで組織の多様性
を確保することができます。
(3) 研究所・研究施設について各人が持っている固定観念が、候補者の評価に影響する可能
性があります。機構の将来像はこれまでの組織のあり方とは違うかもしれません。将来
の組織のあるべき姿を踏まえた採用方針を立てることが望まれます。
(4) 選考期間が限られるなど、ストレスのかかる状況では、バイアスに影響された判断を行
いがちであることが知られています。選考基準と事実に基づいて判断するために、十分
な時間を確保するようにしてください。
(5) 候補者に対する推薦書や、受賞歴や外部資金獲得などの一見客観的に見える指標も、無
意識のバイアスの影響が含まれている場合があります。
(6) 機構では、DE & I に関する基本方針を定めています。特に、管理的な責任のあるポスト
の場合は、これらの実現に資する経験等についても確認してください。
以下に示す資料は、無意識のバイアスや大学において研究者が置かれている状況について理解
を深めるために参考になるものと思います。