磁石の精密設置

加速器の性能を設計通り発揮するためには、磁石を設計通り精密に配置(アライメント)しなければなりません。加速器が大型になると電磁石総数も1000台以上になります。これら全ての電磁石を設計軌道上に例えば0.1mmレベルという精度で並べるには精密測量をするための道具や技術、大量の測量データを処理する技術等が必要です。またSuperKEKBのように垂直方向のビームサイズが数十nmという小さいビーム同士を衝突させる場合には、トンネルや地盤の長期・短期的変動やサブミクロンレベルの常微振動(特に垂直方向)でさえも時間変動するミスアライメントとして加速器の性能を劣化させる可能性があります。加速器の性能を出すためには電磁石初期設置時に於けるアライメント誤差を設計許容範囲内に抑えること、更には時間変動により生じるミスアライメントへの対応策をしっかりと準備すること、が重要な鍵となります。

(「もっと知りたい!SuperKEKB加速器」より)