LHCでのエネルギーフロンティア研究

世界最高エネルギーの陽子・陽子衝突実験で宇宙誕生後の状態を再現し、宇宙を支配する物理法則の解明を進めます。

image007544.jpgアトラス実験で観測されたZ粒子生成事象

目的・ビジョン

私たちの住む宇宙は 何からできていてどのようにして作られてきたのでしょうか?約百年前の量子力学と相対性理論の発見以来、素粒子物理学が発展し理解が大きく進んできました。現在クォークとレプトンとそこに働く力から説明する「標準理論」が確立しています。この理論では、粒子が光速で飛び回るのをやめて質量をもつ機構が予言されており、それによるとヒッグス粒子という粒子が存在するはずですが未発見です。また、最近、宇宙には標準理論では説明できない大量の物質があることがわかってきました。「ダークマター」と呼ばれているこれらが一体何なのか、そしてそれを支配する運動はどのようなものなのか、謎が深まっています。

加速器を使って高エネルギーの衝突を起こさせて、ヒッグス粒子やダークマター、そしてそれらに関連する新粒子を直接作り出して、調べていこうという研究です。

概要

image001.jpgLHC加速器:円形の赤線の地下約100メートルに周長27kmのLHC加速器トンネルがある。4つの実験装置の場所が黄色の丸で示してある。 LHC(Large HadronCollider: 大型ハドロン衝突型加速器)はCERN(欧州合同原子核研究機関)に建設された世界最高エネルギーの陽子・陽子衝突型加速器です。加速した陽子同士を高エネルギーで正面衝突させることにより、ヒッグス粒子や標準理論を越える 新しい現象の発見を目指します。2009年11月に初めての衝突に成功し、2010年から3兆5千億電子ボルト(3.5TeV)まで加速した陽子を衝突させる実験が始まりました。このエネルギーで2012年まで運転し、その後設計値の7TeVまでエネルギーを上げていく予定です。

加速器建設に当たっては、KEK が衝突点でのビーム収束用超伝導四極電磁石の開発及び建設を担当しました。

image003.jpgLHCトンネル内に設置された超伝導四極電磁石 実験は大型の国際共同実験グループによって行われています。ここでは世界中から約30カ国、2000名の研究者が参加しています。日本からは現在、KEK など15研究機関からの約100人の研究者・大学院生がアトラス実験に参加しており、測定器の開発・製作に始まり、その運転とデータ解析を進めています。

2010年に収集したデータからも、これまでにほかの実験では到達できなかったエネルギー領域での新粒子探索が始まっています。2012年末までのデータで、かなりの質量領域でヒッグスの探索ができると期待されています。

関連するWebページ

http://atlas.kek.jp/

関連する研究施設

CERN http://public.web.cern.ch/public/
ATLAS http://atlas.ch/

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地下実験室で建設中のアトラス検出器(8個の巨大なトロイダルコイルのなかに中央部のカロリメータを移動する直前)。カロリメータの内側に日本が建設したソレノイド磁石が入っている。