国際連携

KEKは、欧州合同原子核研究機関(CERN)と米フェルミ国立加速器研究所とともに物理科学・生命科学をはじめとする加速器科学の三大拠点のひとつとして基礎科学の発展に貢献しています。 研究が進むにつれ、加速器や実験装置は大型化するとともにその建設や運転には非常に高度な技術や知識が求められるようになり、加速器を使った研究は国際協力による推進が不可欠となっています。

大学共同利用機関法人であるKEKの諸研究施設は、日本の大学研究者などに広く共同利用として提供されています。 これらはまた、国際共同利用や国際共同実験にも活用されており、世界の加速器科学研究における重要な役割を果たしています。 フォトンファクトリー(PF)とJ-PARCはその代表例です。

また、2008年の小林誠・益川敏英両博士のノーベル物理学賞受賞に貢献したBファクトリーをさらに高度化する「SuperKEKB」計画では、KEKの主導のもと、新たな枠組みにおける国際共同実験が推進されています。 KEKはまた、大規模シミュレーションソフトウェアの開発を共同で行う「GEANT4」などの国際的枠組みで主導的な役割を担っています。 さらに、リニアコライダー等の次世代加速器の国際共同開発においても、日本を含むアジア地域の活動ハブの役割を果たすとともに、試験研究の場を提供しています。

グローバルな連携

KEKが推進する研究は、国際的な協力と競争の中で行われることで、世界トップレベルの水準を保つとともに様々な成果をあげてきました。加速器施設のさらなる大規模化や計画の長期化に伴い、より一層のグローバルな協力が重要になっています。KEKは、加速器科学推進の国際的枠組みである「将来加速器国際委員会(ICFA)」や、次世代加速器開発にむけた国際委員会「国際リニアコライダー運営委員会(ILCSC)」に主要メンバーとして参加しています。

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アジアとの連携

急速な経済成長を遂げるアジア諸国では、近年加速器科学への関心が高まってきており、世界三極の一つとして今後さらなる発展が期待されています。KEKは、アジア諸国の研究機関に対して、放射光・中性子による物質・生命研究や医療・産業応用にいたる広範な分野での連携協力を拡大しています。

KEKは、アジアの主要23研究機関・大学と協定を締結しているほか、アジア14力国・地域が参加する「アジア地域将来加速器委員会(ACFA)」や、加速器・測定器技術の開発と応用を主眼とした研究協力枠組みである「アジア加速器測定器フォーラム(AFAD)」での世話役を務めています。また、ヨルダンにある放射光の国際研究機関「SESAME」にも協力し、中東・アフリ力地域の加速器科学の推進に貢献しています。

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北アメリカとの連携

日米エネルギー協定の下で1979年に始まった高エネルギー物理学分野における日米科学技術協力事業では、KEKが日本側の代表機関となり、米国の大型加速器を利用した共同研究を多数実施し、優れた研究成果をあげると同時に、国際的視野を持った多くの若手研究者を育成してきました。

2010年10月には、同事業創設時の関係者らを交えて”日米事業30周年記念シンポジウム”が開催され、過去の業績の総括とこれからの事業の在り方についての議論が行われ、日米間の将来計画のため、同事業を長期に継続することが合意されました。

北米の研究機関についてはこのほか、カナダのTRIUMF研究所と毎年1回シンポジウムを開催し、協力関係を深めています。

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ヨーロッパとの連携

KEKと欧州諸国の研究機関との共同研究の始まりは、KEK設立当初の1970年代にさかのぼりますが、1980年代の終わりから特に本格化しています。 現在、KEKは欧州11カ国(英国、ロシア、ベラルーシ、スイス、ポーランド、イスラ工ル、ドイツ、フランス、イタリア、スロベニア、グルジア)の21の研究機関との間に協定・覚書を締結し、KEKB、J-PARCなど様々な施設での国際協力を進めています。

KEKは、欧州の国際機関であるCERNと複数の協定覚書を締結し、大型ハドロンコライダー(LHC)のアップグレードに係る協力と、そこでのATLAS実験をはじめとする国際共同実験に、日本の大学・研究機関と共に参加しています。 また2014年からは、協定に基づき、相互に分室を設置して協力の拠点としています。

最終更新日 2024/03/11