STF-2加速器のビーム運転で、ILCの仕様を実証

   

2019年2月から3月にかけてKEKの超伝導リニアック試験施設(STF)で実施した初のビーム運転で、国際リニアコライダー(ILC)の仕様を満たす成果が実証されました。

STFは、ILC計画の基本技術である「超伝導高電界加速空洞」および冷却・保冷装置である「クライオモジュール」の製造・運転技術確立のために2006年に建設された施設です。これまでにSTF-1(2008~2009)、S1-Global(2009~2011)、量子ビーム(2011~2013)、STF-2(2014~)の4つの計画が進められてきました。このSTFで、今年の2月から3月にかけて初となるビーム運転を行ない、ILCの仕様を満たす結果を出すことができました。

2014年から始まったSTF-2計画では、12台の超伝導空洞が収められたクライオモジュールを製造し、トンネル内に設置。2016年までに計3回の冷却試験を行い、空洞の性能確認や8台の空洞の同時運転試験などを実施してきました。最後のステップであるビーム試験を行なうために2018年から、ビームライン接続、レーザー・電子銃システムの再整備、電磁石・真空システムの構築、ビームモニターおよびビームダンプの設置などの各種の準備を行なってきました(図①)。今年の2~3月にかけて、2台の空洞を収めたキャプチャー・クライオモジュールと、7台の空洞を収めたクライオモジュールを用いて、初めてビーム運転を行ないました。

空洞の加速勾配の調整や高周波制御の調整、ビーム調整を精密に行なったところ、ビームエネルギーが271 メガ電子ボルト(MeV)に到達しました(図②)。この数値から各空洞の運転加速勾配を計算したところ、32メガボルト(MV) /mであることがわかりました。これはILCの運転仕様である31.5 MV/mを満足する結果であり、KEKにおいてもILCの仕様を満たすビーム運転が実証されたことになります。今年度は、2台のクライオモジュールに収められた空洞の中で性能の劣るものを、新たな手法で処理された空洞と入れ替える作業を予定しています。ビーム運転では、新たに収納された空洞の性能確認に加えて、ビームエネルギーおよびビーム電流の増強を目指します。

図① ビームライン建設の様子(左)とSTF-2加速器完成記念撮影(右)

図② STF-2加速器概要図およびビームプロファイルモニターの画像

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