ICFA、日本のILCに対する関心表明に際しての対応:ILCの実現を奨励

   

国際将来加速器委員会(ICFA)は、3月7日の、国際リニアコライダー(ILC)に関する日本政府の、ILC計画に対する関心を表明したものの、この将来プロジェクトのホストを提案するには至らないとした表明に対し、声明を発表します。 ICFAは、ILCを継続的に支援し、日本が主導する国際プロジェクトとしてのILCの早期実現を奨励します。

この声明は、2019年3月7日〜8日に東京で開催された第83回ICFA会議の後に発表されたものです。 3月6日には歓迎レセプションが行われました。 会議初日の午前中に行われた、ICFA委員も出席するリニアコライダー国際推進委員会(LCB)セッションで、文部科学省からILCに関する日本の見解について説明がありました。 文部科学省の磯谷桂介研究振興局長は、中田達也LCB委員長に、ILCのホストを宣言する決定には至っていないものの、今後もILCプロジェクトに関心を持って、他国の政府との議論を継続するとの書簡を手渡しました。

ICFA議長であるジェフリー・テイラー豪CoEPP研究所所長は「私たちは日本の国会議員や文部科学省の上級職員との対話で、日本の政治・行政の環境はILCに向かって急速に発展していることが示され、非常に勇気付けられました。私たちは、日本からILCのホストに対する積極的な姿勢が、そう遠くない将来に表明されることを、今なお大きく期待しています。」と述べました。

声明全文

ILCプロジェクトに関する文部科学省の見解に際してのICFA声明

2019年3月6日〜8日に東京で開催された国際将来加速器委員会(ICFA)年次総会において、文部科学省の磯谷桂介研究振興局長が、リニアコライダー国際推進委員会(LCB)およびICFAに対して方針の説明をしてくださったことに謝意を表します。 ICFAは、この、文部科学省および関係省庁におけるILCへの継続的な関心の表明を、ILC実現への道筋に沿った重要なマイルストーンと見なしています。 また、ICFAは、3月6日にICFA・LCBに対する式辞の中で、河村建夫衆議院議員/ILC議員連盟会長が、国会内におけるILCへの支持を確言なさったことに対して感謝申し上げます。

2012年にCERNのLarge Hadron Colliderで発見されたヒッグス粒子は、過去数十年の素粒子物理学研究における最も重要な発見であると認識されています。 この比類のない粒子は、自然の基本法則を理解するための新しい出発点となるものであり、新たな発見のための素晴らしい道具となることが期待されています。

ICFAは、次世代の国際協力で進める加速器の最優先事項は、ヒッグス粒子の精密研究が可能な「ヒッグス・ファクトリー」であるという国際的な合意を追認します。 今回のICFA会議では、ILCとその他のコライダー技術等の、ヒッグス・ファクトリーの選択肢について議論が行われました。

ICFAは、ILCの科学的意義と、ILCが建設承認を得るのに十分な技術的水準にあることをあらためて明言します。

2013年に策定された欧州素粒子物理戦略、および2014年に策定された米国の素粒子物理学プロジェクト優先順位付け委員会(P5)報告書の双方において、日本の物理学コミュニティによる、日本がホストするILC計画の取り組みに対する支援が表明されています。

ICFAは、文部科学省がILCに関心を持ち、プロジェクトについて関係国政府と議論を継続するものの、現時点では、日本がILCをホストする意思を表明するに至らないということを認識しています。 もし ILCのホストに向けた日本の立場の明確な声明があったなら、それは現在進行している欧州素粒子物理戦略の更新の議論に大きな影響を与えうるものでした。

ICFAは、世界中で提案されているヒッグス・ファクトリーの選択肢について、大きな進展があったことに満足していることを付記します。 今後、すべての選択肢は、欧州粒子物理学戦略の更新の議論、およびICFAにて検討されます。

東京、2019年3月

用語

ICFA:国際将来加速器委員会

ICFA:国際将来加速器委員会(ICFA:International Committee for Future Accelerators)は高エネルギー物理研究に用いる加速器の建設と運用における国際協力の促進を目的に設立された組織。 高エネルギー物理研究に関与する世界各地の専門家から構成されており、現在の委員は 18 名。 LCB:リニアコライダー国際推進委員会(LCB: Linear Collider Board)。ICFA の下部組織で、ILC の加速器及び測定器に関する研究開発活動と計画推進の活動を行うリニアコライダー・コラボレーション(LCC:ディレクター リン・エバンス)を監督する。

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