大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領改正案 平成28年3月23日 制        定 改正 令和  年  月  日 (目的) 第1条 この要領(以下「対応要領」という。)は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第9条第1項の規定に基づき、また、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(令和5年3月14日閣議決定。以下「基本方針」という。)に即して、法第7条に規定する事項に関し、大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構(以下「機構」という。)の役職員が適切に対応するために必要な事項を定めたものである。 (定義) 第2条 この対応要領において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 一 障害者 法第2条第1号に規定する障害者、即ち、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害及び高次脳機能障害を含む。)その他の心身の機能の障害(難病等に起因する障害を含む。)(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものとし、機構における研究その他機構が行う活動全般において、そこに参加する者すべてとする。   二 社会的障壁 障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。 (障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方) 第3条 この対応要領において、不当な差別的取扱いとは、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、研究その他機構が行う活動全般について機会の提供を拒否すること、提供に当たって場所・時間帯などを制限すること、又は障害者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障害者の権利利益を侵害することをいう。また、車椅子、補助犬その他の支援機器等の利用や介助者の付添い等の社会的障壁を解消するための手段の利用等を理由として行われる不当な差別的取扱いも、障害を理由とする不当な差別的取扱いに該当する。なお、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別な措置は、不当な差別的取扱いではない。 2 前項の正当な理由に相当するか否かについては、単に一般的・抽象的な理由に基づいて判断するのではなく、個別の事案ごとに、障害者、第三者の権利利益及び本機構の研究その他機構が行う活動の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的な状況等に応じて総合的・客観的に検討を行い判断するものとし、役職員は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を丁寧に説明し、理解を得るよう努めなければならない。その際、役職員と障害者の双方が、お互いに相手の立場を尊重しながら相互理解を図ることが求められる。 3 この対応要領において、合理的配慮とは、障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過重な負担を課さないものをいう。 4 前項の過重な負担については、単に一般的・抽象的な理由に基づいて判断するのではなく、個別の事案ごとに、次の各号の要素等を考慮し、具体的な状況等に応じて総合的・客観的に検討を行い判断するものとし、役職員は、過重な負担に当たると判断した場合には、障害者にその理由を丁寧に説明し、理解を得るよう努めなければならない。その際には、役職員と障害者の双方が、お互いに相手の立場を尊重しながら、建設的対話を通じて相互理解を図り、代替措置の選択も含めて柔軟に対応を検討することが求められる。 一 研究その他機構が行う活動への影響の程度(その目的・内容・機能を損なうか否か) 二 実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約) 三 費用・負担の程度 四 本機構の規模、財政・財務状況 (監督者の責務) 第4条 役職員のうち、「大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構労働基準法に規定する管理又は監督の地位にある職員の範囲に関する規程」第1条に規定する職員(以下、「監督者」という。)は、障害を理由とする差別の解消を推進するため、次の各号に掲げる事項に注意して障害者に対する不当な差別的取扱いが行われないよう注意し、また、障害者に対して合理的配慮の提供がなされるよう努めなければならない。 一 日常の執務を通じた指導等により、障害差別の解消に関し、監督する役職員の注意を喚起し、障害を理由とする差別の解消に関する認識を深めさせること。 二 障害者から不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供に対する相談、苦情の申出等があった場合は、迅速に状況を確認すること。 三 合理的配慮の必要性が確認された場合、監督する役職員に対して、合理的配慮の提供を適切に行うよう指導すること。 2 監督者は、障害を理由とする差別に関する問題が生じた場合には、迅速かつ適切に対処しなければならない。 (不当な差別的取扱いの禁止) 第5条 役職員は、法第7条第1項の規定のとおり、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 2 役職員は、前項に当たり、別紙留意事項に留意するものとする。 (合理的配慮の提供) 第6条 役職員は、法第7条第2項の規定のとおり、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)の提供をしなければならない。特に障害のある女性に対しては、障害に加えて女性であることも踏まえた対応が求められることに留意する。また、障害のある性的マイノリティについても同様に留意する。なお、多数の障害者が直面し得る社会的障壁をあらかじめ除去するという観点から、他の障害者等への波及効果についても考慮した環境の整備を行うことも有効である。 2 前項の意思の表明は、言語(手話を含む。)のほか、点字、筆談、身振りサイン等による合図など障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段により伝えられること及び障害の特性等により本人の意思表明が困難な場合には、障害者の家族、介助者等のコミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含むことに留意するとともに、意思の表明がない場合であっても、当該障害者がその除去を必要としていることが明白である場合には、当該障害者に対して適切と思われる合理的配慮を提案するよう努めなければならない。 3 役職員は、前二項の合理的配慮の提供を行うに当たり、別紙留意事項に留意するものとする。 (相談体制の整備) 第7条 役職員による障害を理由とする差別に関する障害者及びその家族その他の関係者からの相談等に的確に対応するための相談窓口は、総務部人事・職員課とする。 (研修・啓発) 第8条 機構は、障害を理由とする差別の解消の推進を図るため、役職員に対し、必要な研修・啓発を行うものとする。 2 新たに役職員となった者に対しては、障害を理由とする差別の解消に関する基本的な事項について理解させるために、また、新たに監督者となった職員に対しては、障害を理由とする差別の解消等に関し求められる役割について理解させるために、それぞれ研修等を実施する。 3 役職員に対し、障害の特性を理解させるとともに、障害者へ適切に対応するために必要な資料等により、意識の啓発を図る。 (懲戒処分等) 第9条 役職員が障害者に対し、不当な差別的取扱いをし、又は過重な負担がないにもかかわらず合理的配慮を提供しなかった場合、その態様等によっては、本機構就業規則に規定する職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合等に該当し、懲戒処分等に付されることがある。   別紙 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領に係る留意事項 障害を理由とする差別の解消の推進に関する役職員対応要領第5条及び第6条に定める留意事項は、以下のとおりとする。 第1 不当な差別的取扱いに関する例(第5条関係)  対応要領第3条第1項及び第2項のとおり、不当な差別的取扱いに相当するか否かについては、個別の事案ごとに判断されることとなるが、正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例及び正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例は、次のとおりである。 なお、ここに記載する内容はあくまでも例示であり、これらの例だけに限られるものではないこと、正当な理由があり不当な差別的取扱いに該当しない場合であっても、合理的配慮の提供を求められる場合には別途の検討が必要であることに留意すること。 (正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例) (以下、例示) ○ 障害があることを理由に窓口対応を拒否する。 ○ 障害があることを理由に対応の順序を劣後させる。 ○ 障害があることを理由に書面の交付、資料の送付、パンフレットの提供等を拒む。 ○ 障害があることを理由に説明会、シンポジウム等への出席を拒む。 ○ 事務・事業の遂行上、特に必要ではないにもかかわらず、障害があることを理由に、来訪の際に付き添い者の同行を求めるなどの条件を付ける。 ○ 障害の種類や程度、サービス提供の場面における本人や第三者の安全性などについて考慮することなく、一律にあるいは漠然とした安全上の問題を理由に機構内の施設利用を拒否又は制限すること   (正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例) ○ 災害時において、避難の際、具体的な危険の発生が見込まれる障害特性のある障害者に対し、別の避難方法を案内する(障害者本人の安全確保の観点)。 ○ 事務を行う職員の採用選考時において、当該事務能力を有するか確認するため、簡単な書類の文字入力を別に行う(機構の損害防止の観点)。 ○ 事務手続きを行うため、障害者本人に同行した者が代筆しようとした際に、必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害者本人に対し障害の状況や本人の手続の意思等を確認する(障害者本人の損害発生防止の観点)。 第2 合理的配慮に関する例(第6条関係)  合理的配慮は、不特定多数の障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、必要な人材の配置、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、個々の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。その内容は、対応要領第3条第3項及び第4項のとおり、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的状況等に応じて異なり、多様かつ個別性が高いものであり、当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応する必要があるが、例としては、次に掲げるとおりである。   なお、これらの例はあくまでも例示であり、ここに記載する例以外であっても合理的配慮に該当するものがあること、また、個別の事案ごとに判断することが必要であることに留意すること。 (合理的配慮に当たり得る物理的環境への配慮の例) (以下、例示) ○ 段差がある場合に、車椅子利用者にキャスター上げ等の補助をする、携帯スロープを渡すなどする。 ○ 配架棚の高い所に置かれたパンフレット等を取って渡す。 ○ 目的の場所までの案内の際に、障害者の歩行速度に合わせた速度で歩いたり、前後・左右・距離の位置取りについて、障害者の希望を聞いたりする。 ○ 障害の特性により、頻繁に離席の必要がある場合に、会場の座席位置を扉付近にする。 ○ 疲労を感じやすい障害者から別室での休憩の申出があった際、別室の確保が困難であったことから、当該障害者に事情を説明し、対応窓口の近くに長椅子を移動させて臨時の休憩スペースを設ける。 ○ 不随意運動等により書類等を押さえることが難しい障害者に対し、職員が書類を押さえたり、バインダー等の固定器具を提供したりする。 (合理的配慮に当たり得る意思疎通の配慮の例) (以下、例示) ○ 筆談、読み上げ、手話などのコミュニケーション手段を用いる。 ○ 意思疎通が不得意な障害者に対し、絵カード等を活用して意思を確認する。 ○ 駐車場などで通常、口頭で行う案内を、紙にメモをして渡す。 ○ 書類記入の依頼時に、記入方法等を本人の目の前で示したり、分かりやすい記述で伝達したりする。 ○ 比喩表現等が苦手な障害者に対し、比喩や暗喩、二重否定表現などを用いずに説明する。 ○ 知的障害者から申出があった際に、ゆっくり、丁寧に、繰り返し説明し、内容が理解されたことを確認しながら応対する。また、なじみのない外来語は避ける、漢数字は用いない、時刻は24時間表記ではなく午前・午後で表記するなどの配慮を念頭に置いたメモを、必要に応じて適時に渡す。 (ルール・慣行の柔軟な変更の例) (以下、例示) ○ 順番を待つことが苦手な障害者に対し、周囲の者の理解を得た上で、手続順を入れ替える。 ○ 立って列に並んで順番を待っている場合に、周囲の者の理解を得た上で、当該障害者の順番が来るまで別室や席を用意する。 ○ スクリーンや板書等がよく見えるように、スクリーン等に近い席を確保する。 ○ 移動に困難のある障害者に配慮し、機構の敷地内において、車両乗降場所を施設出入口に近い場所へ変更する。 ○ 機構の敷地内の駐車場等において、障害者の来訪が多数見込まれる場合、通常、障害者専用とされていない区画を障害者専用の区画に変更する。 ○ 入館時に磁気カードリーダーを使用して電気錠を解錠することが困難な場合、別ルートからの入館を認める、または職員がその解錠を補助する。 ○ 他人との接触、多人数の中にいることによる緊張により、不随意の発声等がある場合、当該障害者に説明の上、施設の状況に応じて別室を準備する。 ○ 非公表又は未公表情報を扱う会議等において、情報管理に係る担保が得られることを前提に、障害のある委員の理解を援助する者の同席を認める。 また、合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例及び該当しないと考えられる例としては、次のようなものがある。なお、記載されている内容はあくまでも例示であり、合理的配慮の提供義務違反に該当するか否かについては、個別の事案ごとに判断することが必要であることに留意する。 (合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例) (以下、例示) 〇 採用等における試験を受ける際に、筆記が困難なためデジタル機器の使用を求める申出があった場合に、デジタル機器の持込みを認めた前例がないことを理由に、必要な調整を行うことなく一律に対応を断ること。 〇 視覚障害者が、点字ブロックの無いイベント会場内の移動に必要な支援を求める場合に、「何かあったら困る」という抽象的な理由で具体的な支援の可能性を検討せず、参加や支援を断ること 〇 自由席での開催を予定しているセミナーにおいて、弱視の障害者からスクリーンや板書等がよく見える席でのセミナー受講を希望する申出があった場合に、事前の座席確保などの対応を検討せずに「特別扱いはできない」という理由で対応を断ること。 (合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例) (以下、例示) 〇事務の一環として行っていない業務の提供を求められた場合に、その提供を断ること。(必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られることの観点) 〇抽選申込みとなっているイベント等への参加について、抽選申込みの手続きを行うことが困難であることを理由に参加の事前確保を求められた場合に、当該対応を断ること。(障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであることの観点) 〇イベント当日に、視覚障害者から職員に対し、イベント会場内を付き添ってブースを回ってほしい旨頼まれたが、混雑時であり、対応できる人員がいないことから対応を断ること。(過重な負担(人的・体制上の制約)) (合理的配慮の提供と環境の整備の関係に係る例) (以下、例示) 〇 障害者差別解消の推進を図るための役職員への研修を実施(環境の整備)するとともに、役職員が、障害者一人一人の障害の状態等に応じた配慮を行うこと(合理的配慮) 〇 オンラインでの申込手続が必要な場合に、手続を行うためのウェブサイトが障害者にとって利用しづらいものとなっていることから、手続に際しての支援を求める申出があった場合に、求めに応じて電話や電子メールでの対応を行う(合理的配慮)とともに、以後、障害者がオンライン申込みの際に不便を感じることのないよう、ウェブサイトの改良を行うこと(環境の整備)