多彩な物質のあらわす性質の起源を探り、新しい物質を創り出す
人間は物質の性質を巧みに利用して生活を豊かにしてきました。( 物質がもつ多彩な性質は、物質がどのような原子からできているか、その原子がどのように並んでいるか、物質中を電子がどのように運動しているかによって決められます。 物質中の電子の電荷・スピン・軌道を調べ、制御していくことが新材料やテクノロジーの開発につながります。
物質構造科学研究所では、放射光・中性子・ミュオン・低速陽電子という4種類の量子ビームを総合的に活用して物質科学の研究を推進するために、2009年に構造物性研究センターを設立しました。外部の研究者との密接な研究協力により、凝縮系と呼ばれる固体や薄膜などが示す興味深い物性を、主に構造の面から研究を進めています。現在の物性科学研究の中で極めて重要であると考えられる「強相関電子系」「表面・界面系」「ソフトマター系」「極限環境下物質系」の4つの分野を重点的研究分野に設定し、さまざまな物質が示す幅広い範囲にわたる多種多様な物性の発現機構の根源を探るために、多重極限下の構造解析、共鳴散乱による局所構造の対称性の解析、精密結晶構造解析等による研究を行います。