短寿命核実験装置TRIAC・KISS
自然には存在しない短寿命核の性質を調べたり、短寿命核をプローブとする物性研究を行うため、ウランの核分裂などの核反応によって生成した短寿命核を分離、加速する装置がTRIACです。 TRIACは、2005年度より2010年度までKEK東海キャンパスにおいて共同利用実験に利用されました。 KISSは、超新星爆発等の爆発的天体環境において生成されたと考えられているウランやトリウム等の地上にも存在する重元素の起源を探るために、開発が進められている装置です。
概要
TRIAC(Tokai Radioactive Ion Accelerator Complex)は、ウランの核分裂等の核反応によって生成した短寿命核を分離し、最大核子当たり110万電子ボルト(1.1 MeV)まで加速する装置として開発されました。 2005年度から2010年度にかけて共同利用実験が行われ、年間のべ約200人の国内外の研究者に利用されました。 短寿命核が関与する様々な核反応を調べることで、恒星の進化の過程を調べたり、短寿命核によるリチウム電池材料の非破壊的研究手法が開発されました。
共同利用の終了とともにTRIACの主な装置は韓国に移設され、さらなる短寿命核研究分野の開拓に利用される予定です。
TRIACの研究から生まれた、短寿命核による元素生成の起源天体探求、という研究課題を本格的に追求するために開発された装置が、KISS(KEK Isotope Separator System)です。 重イオンビームによる多核子移行反応で生成された希少な短寿命核を、その原子番号と質量数で選び出し、崩壊特性を調べます。
原子番号の選択には、レーザー共鳴イオン化という手法が、質量数分離には、電磁場が用いられます。希少核を効率良く止めて、電気的に中性な原子状態でイオン化室に運ぶために、アルゴンガスによるガスキャッチャーという新たな手法が採用されています。 この装置を使って、我々の身の回りにある金や白金、あるいはウランやトリウム等の重元素を生成した際の天体の温度や物質密度についての環境を明らかにする計画です。
KISSは2012年の完成、2014年からの共同利用開始を目指しています。
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