Open-It（オープンソースコンソーシアム）

 

計測システム開発におけるノウハウの蓄積と発展の新しい形を目指します。

概要

我々は、誰も見たことがない世界を見るための計測開発システムの開発と実用化を行ってきました。 現在それが必要とされる分野は素粒子原子核研究に留まらず、広い分野にまたがっており共通の課題に取り組む研究者も少なくありません。 これらの研究者が、分野を超えて結びつき、それぞれの研究者が持っているノウハウを融合・改良し実際の計測システム開発へ生かしていくことによって、それぞれの研究が加速度的に進むことは、大きな利点です。

また計測システム開発においては、カバーすべき技術範囲は広く一人もしくは少人数のグループで開発を進めることは困難です。 この状況を長期的に見たとき、OJT（On the Job Training）が不十分で後継者が育たず、研究の進展速度が遅くなる等の問題が起きます。 この問題は前述の研究者間のネットワークによって解決可能です。

Open-It（オープンソースコンソーシアム）では、実際の計測システム開発プロジェクトから人を受入れ、教育することで、ノウハウの普及と開発を両立させます。 またそこで新しく創造された成果は、コンソーシアム内で自由に使えるようにし、他のプロジェクトの研究開発に役立てます。

今後この活動を続けることで、先端的な研究と成果の普及・融合・教育を同時に行いながら、学際領域・産学連携の活動を通し、それぞれの研究者が関連するコミュニティの活性化を図っていきます。

ASIC分野

ASIC（Application Specific Integrated Circuit）はピクセル検出器のような高密度多チャンネル検出器からの信号や、大型で数十万チャンネル程度の検出器からの信号を処理するために必須です。 応用に際しては、エレクトロニクス技術はもとより、半導体技術、高密度実装技術を含むシステム化技術、耐放射線や低温環境に置けるデバイスの知識等複数の知識が必要になります。 そのため、初心者にとってはどこから手を付ければいいのかわかり難く敷居が高いものの一つです。 Open-Itでは複数の拠点の研究者が、必要に応じてそれぞれのノウハウを持ってOJTの一環として教育を行い実用化を目的として研究開発を行います。

FPGA分野

FPGAとは回路情報をソフトウエアの様にダウンロードして使用するデジタル集積回路技術です。 加速器科学計測開発システムが処理すべき検出器数およびデータ量は増え続けていますので装置が処理できるチャンネル密度を上げる必要があります。 FPGA技術を使用するとユーザー独自の回路を容易に集積回路化できるため多くの計測システムで採用されています。 システム内でFPGAは検出器信号を実験に適した信号処理を行いネットワークなどを使用して計算機へ転送します。 一つの装置を開発する為には実験独自の信号処理から各種コンピュータ通信回路の開発力が必要です。 Open-Itではこれら広範囲の知識をメンバーがお互いに協力する事で開発期間の短縮と最先端技術の研究開発を共同で取り組む事を目的にしています。

PCB実装分野

プリント基板実装技術は加速器科学計測開発システムを構築する上で、検出器および電子回路等を製作するために無くてはならない技術です。 集積回路を含めた電子部品の発達と共にエレクトロニクス、情報通信の分野を支えてきました。 現在の計測システムに要求される高密度、低ノイズ、高速処理、高速通信を実現するためには多くの高度な技術やノウハウが必要ですが、あまりにも高度で広範囲になったために加速器科学計測の分野では技術者が育っていないのが現状です。 Open-Itではこの状況を打開するためにメンバーが情報を共有し協力して最先端技術の研究開発と教育に取り組んでいます。 Open-It 内ではFPGAとPCBは一体の部門として活動しています。

ソフトウェア分野

実験を遂行し、検出器からデータを計算機へ取り込むためには専用のソフトウェアが不可欠です。 加速器を用いる実験では、一般的に検出器の数が非常に多く、そこから生成されるデータ量も莫大です。 また、加速器の運転コストもかかるため効率的なデータの収集が要求されます。 歴史的にデータ収集用のソフトウェアは、実験に特化して作られ、終わると捨てられてしまい再利用されませんでした。 Open-Itでは汎用の再利用可能なソフトウェアの開発を行い実験への適用を行っています。 また講習会を開催して学生の教育や技術の普及にも努力しています。 成果物の1つであるDAQ-Middleware は、大強度陽子加速器施設（J-PARC）の物質・生命科学実験施設の多くの実験装置等で使用されています。

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