物構研談話会(15-06)SmX(X=S,Se,Te)の圧力誘起価数転移におけるSm L3端XASの理論
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開始 | 2015/09/03(木)11:00 |
終了 | 2015/09/03(木)12:00 |
会場 | 4号館2階輪講室1 |
講演タイトル | SmX(X=S,Se,Te)の圧力誘起価数転移におけるSm L3端XASの理論 |
講演者 | 小谷 章雄 先生 |
言語 | 日本語/Japanese |
連絡先 | naomi.nagata@kek.jp |
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食堂・売店 | /0 |
概要
SmX (X = S, Se, Te) は常圧では絶縁体で、Smの価数はほとんど2価であるが、加圧によって絶縁体・金属転移をおこし、価数が急激に変化する。最近、Sm L3 XASの高分解能測定により、圧力誘起価数転移の詳細が明らかにされた[1]。本研究では、まずバンド計算結果を参考にして3つの物質のSm5dバンドの状態密度(DOS)をモデル化し、それを基にしてXASスペクトルの圧力依存性を解析するとともに、圧力誘起価数転移の機構を明らかにする。まず、この状態密度を用いて常圧でのXASを解析すると、5d電子に対する内殻正孔ポテンシャルの大きさUdcがX = S, Se, Teに対して1.2eV、1.0eV、0.8eVと系統的に減少することがわかった。圧力誘起価数転移では、圧力によって4fバンドから5dバンドの底付近に電子移動が起こるものと考え、設定した5dDOSモデルに加えて、5d電子に対する4f正孔ポテンシャルUfdをX = S, Se, Teに対して、0.87eV、0.79eV、0.69eVと選べば、価数の圧力依存性が実験結果をかなり良く再現した。この際に、5d電子によるUfdに対する遮蔽効果なども考慮した。圧力下でのXASスペクトル形状は、5dDOSモデルに上記のUdc、Ufdの値とそれらに対する5d電子の遮蔽効果を加味して計算することができる。3つの物質に対して、種々の圧力下で計算されたXASの形状は、5d電子の遮蔽効果によるUdcおよびUfdの減少因子を適当に選べば、実験結果を良く再現した。この減少因子を5d電子数の関数としてプロットすれば、物質に依らずにほぼ同一曲線上にのることがわかった。
[1] I. Jarrige et al: Phys. Rev. B 87 (2013) 115107.
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