KEKは1971年に大学共同利用研究所第一号として誕生しました。 大学共同利用研究所とは大学単独では持てないような大型研究施設を設置し、それを広く全国の大学の研究者に使ってもらってともに成果をあげましょうという考えのもとに設置された研究所です。 KEKは創立以来約50年にわたってこの考え方に則って科学の発展を担ってきました。 2004年度からは法人化され、そのあり方は大きく変化しましたが「大学共同利用」の理念はKEKの存在意義の根幹としてその歴史を貫いてきたと言えます。 この理念のもと、大学とともに多くの分野の学術研究を担い、日本の研究レベルの向上に貢献してきたことは大いに誇ってよいと考えます。

近年の科学技術の目覚ましい発展に粒子加速器が大きな貢献をしてきたことは、意外と知られていないかもしれません。 電子や陽子などを加速する装置である粒子加速器は、1930年代にその歴史が始まって以来、基礎科学の研究だけでなく、材料科学や生命現象の理解にもなくてはならない研究手法を提供してきました。 日本においても、これまでに国内外の研究者の共同研究によって素粒子の理解を深める重要な成果が生れ、放射光や大強度中性子などを用いた研究により物質・生命科学においても最先端の成果を挙げてきました。

加速器は今もいくつかの重要な点において飛躍的な進展を遂げつつあり、その誕生以来80年を経て、今なお新しいサイエンスや応用研究のフロンティアを後押しする強力な駆動力としての役割を担っています。 わが国が今後も科学技術において高い先端性を維持し続けるためには、どのように加速器技術を維持発展させ、その成果をどのように科学技術に結び付けていくかという大きな指針と、それを担う組織と人材の育成を図ることが極めて重要であると考えます。

研究の大型化と国際化の進行とともに、KEKの研究のあり方は大きく様変わりしています。 研究機関に対する社会の要請も大きく変化しつつあります。 日本の経済情勢も右肩上がりが当然という時代はとうに過ぎたと言わざるを得ません。 次の半世紀に、KEKが大学とともに多くの分野の学術研究を担い日本の研究レベルの向上に貢献するためには、KEKはどう変わらねばならないのか、大きな転換点にいると考えます。 今後も皆様のご支援をいただきながら、大学の研究者とともに科学と技術のフロンティアを担う研究機関であり続けるよう、さらに努力を重ねていく所存です。

高エネルギー加速器研究機構(KEK)
機構長 山内正則
山内正則(やまうち・まさのり)KEK機構長

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