遠隔的に剥離・解体可能な光応答性エラストマーの開発 —貼って繋げて光ではずせるゴム状新素材—

図2:合成したPRN(左)をPTFEシートに貼付して固定し(中央)、光を照射して狙った部分のみを応答させた様子(右)の写真

東京大学大学院総合文化研究科
高エネルギー加速器研究機構

概要

東京大学大学院総合文化研究科の岡美奈実(博士後期課程2年)らは、光刺激を作用させることで粘弾性を遠隔操作できる光解体・再生式網目状物質(PRN)を開発しました。この物質は複数の部品を接合するための粘着剤やゴム紐として利用可能であり、光刺激を及ぼすことで照射部分のみの粘着性・粘弾性を低下させて遠隔的に剥離・解体させることができます。またPRNは、剥離・解体された後で光刺激が及ぼされないでいると元の粘着性・粘弾性に戻るため、再利用可能な材料である特徴があります。さらに特筆すべき点は、この遠隔的な剥離・解体操作をネット通販でも購入可能な市販のレーザーポインターで実現できることです。高額な試験研究用の装置に頼ることなく、我々の身近にある安価な民生品を有効利用して物性を制御できるPRNには、解体性粘接着剤や解体性ゴムなど様々な用途への展開可能性を期待できます。
この研究成果は、Advanced Science誌に掲載されました。

本研究成果のポイント

◆光刺激を及ぼすと無溶媒下で固体状態を維持したまま可逆的かつ大幅に粘弾性が変化するシリコーンエラストマーを開発しました。
◆このシリコーンエラストマーを市販のレーザーポインターで遠隔的に剥離・解体できる粘着剤・ゴム紐として応用することに成功しました。
◆解体性粘接着剤や可逆的に変形する3Dプリンター用材料などさまざまな材料開発への展開が期待されます。

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