ニュートリノ物理学研究
加速器により人工的に発生させたニュートリノを数百km離れた測定器に向かって打ち込むことで、ニュートリノの質量の起源や振動(混合)のメカニズムを探究します。
目的・ビジョン
ニュートリノが別の種類のニュートリノに変わる「ニュートリノ振動」と呼ばれる現象を世界最高感度で測定することにより、ニュートリノの質量や世代間の関係など未知の性質の解明を目指します。 そして、ニュートリノの世代間混合とCP対称性の破れを探ることで、反物質の無い物質優勢の宇宙がどのように形づくられたのかに迫ります。
概要
加速器を使用したニュートリノ物理学の研究です。 現在は、東海-神岡間長基線ニュートリノ振動実験(T2K)を行っています。 T2K実験は大強度陽子加速器施設(J-PARC)の主リングシンクロトロンにより発生させた大強度ニュートリノビームを295km離れた岐阜県神岡町の地下1000mに位置するスーパーカミオカンデに打ち込み、J-PARCとスーパーカミオカンデそれぞれでの観測結果を比較することでニュートリノが飛行中に別の種類に変わるニュートリノ振動(混合)の研究を行う実験です。 観測結果の詳細な分析から、ニュートリノの質量の起源や振動(混合)の全容解明を目指します。
2011年には、ミュー型ニュートリノが電子型ニュートリノへと転換する兆候を世界で初めてとらえ、2013年に、この現象の存在を確実なものとする測定結果を得ました。 将来的には、T2K実験の知見に基づき、レプトンのCP対称性の破れを調べ、物質優勢宇宙の創成の謎に迫るべく研究計画を立案中です。
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