K中間子稀崩壊の研究

K中間子という素粒子が、きわめて稀な割合で、対称性を破って特殊なパターンに崩壊する過程を探索・測定します。

目的・ビジョン

素粒子を構成するクォークの間で反応が起こると、素粒子はより質量の軽いいくつかの粒子に移り変わります。これを素粒子の”崩壊”と呼びます。崩壊のパターンは一通りではありません。素粒子の持つ様々な崩壊パターンを精密に測定すると、クォークにはどのような相互作用が働くかがわかります。我々のグループは、K中間子という素粒子が数百億回に一回というきわめて稀な割合で特殊なパターンに崩壊する過程を探索し、その崩壊を通してしか検出できない未知の物理法則を発見するための研究をおこなっています。

概要

茨城県東海村にある大強度陽子加速器施設(J-PARC)のハドロンホールにビームラインを建設して、新しいK中間子崩壊実験を行います。E14 KOTO実験では、中性K中間子の非常に稀な崩壊を測定し、粒子と反粒子の対称性(CP対称性)の破れの新たな起源を探ります。そのために中性K中間子が数百億回に一度、中性π中間子と二つのニュートリノに崩壊する過程を発見することを目指しています。KOTOという略称は“K0 at TOkai”から来ています。実験チームには現在、国内(KEK、大阪大、岡山大、京都大、佐賀大、山形大、防大)から37名、海外(米国、台湾、韓国、ロシア)から28名が参加しています。2012年度に測定器を一通り完成させ、2013年度より実験を開始しました。
また、E06 TREK実験では荷電K中間子が中性π中間子、ミュー粒子、ニュートリノに崩壊する過程で生じるミュー粒子のもつスピンの偏りを高い統計精度で測定し、時間反転対称性の破れが起きているかどうかを探索します。TREKという略称は”Time Reversal Experiment with Kaons”から来ています。実験チームには現在、国内(KEK、大阪大、京都大、東京工業大、東北大、防大)から15名、海外(カナダ、米国、ロシア、ベトナム、タイ)から31名が参加しています。2010年度と2011年度にビームラインのサーベイを行うとともに、測定器の準備を進めています。

 

関連するWebページ

 

J-PARC E14 KOTO実験 https://koto.kek.jp/
J-PARC TREK実験 https://trek.kek.jp/
KEK-PS E391a実験 https://www-ps.kek.jp/e391/
KEK-PS E342 T-violation実験 https://www-ps.kek.jp/e246/

 

関連する研究施設

KLビームライン ja/research/fa_ipns/k0beamline