正負のミュオンで捉えたイオンの動き-Liイオンの動きを、負ミュオンで確認、正ミュオンで詳細観察-

図2 μ±SRで求めたLiの拡散係数(DLi)と絶対温度の逆数の関係。
μSRの結果からLiの拡散が証明され、μ+SRの結果からDLiの詳細な温度依存性を求めた。


 

一般財団法人総合科学研究機構 中性子科学センター

国立研究開発法人理化学研究所

大学共同利用機関法人高エネルギ-加速器研究機構

概要

一般財団法人総合科学研究機構(CROSS)中性子科学センターの杉山 純サイエンスコーディネータ(高エネルギ-加速器研究機構 物質構造科学研究所 協力研究員)は、国立研究開発法人理化学研究所(理研)仁科加速器科学研究センターの石田勝彦協力研究員らと共同で、負電荷を有するミュオン(μ)が物質中では原子核に捕獲されて動かないことに注目し、世界で初めて負ミュオンスピン回転緩和法(μSR)と正ミュオンスピン回転緩和法(μ+SR)を組み合わせたハイブリッド測定「μ±SR」を提唱し、これにより電池材料中でリチウムの拡散を確認し、その拡散係数の導出に成功しました。
本成果は、英国ラザフォードアップルトン研究所内の理研RALミュオン施設の負ミュオンビームと多素子検出器の組み合わせ、さらに適切な測定材料の選択により得られました。μ±SRは、電池や水素貯蔵などのエネルギー関連材料中で重要なリチウム・ナトリウム・カリウム・水素と言ったイオンの状態や運動を調べるのに重要な道具となることが実証されました。今後、世界中のユーザーによりエネルギー関連材料のμ±SR研究が深化・発展していくことが期待されます。
なお、この研究成果は、米国物理学会の新たなオープンアクセス誌Physical Review Research誌に7月29日に掲載されました。本研究はJSPS科研費 JP18H01863の助成を受けたものです。

研究成果のポイント

  • リチウムの作る微小な核磁場とその揺らぎを正負のミュオンで検出
  • リチウム拡散を負ミュオンで証明し、その詳細挙動を正ミュオンで測定
  • ハイブリッド測定「μ±SR」を提唱し、各種イオン拡散材料へ応用

 

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