超精密な金属製中性子集束ミラー -多様な中性子ビーム集束デバイスの普及に期待-

   
  • 理化学研究所
  • 高エネルギー加速器研究機構
  • J-PARCセンター
  • 京都大学複合原子力科学研究所

概要

理化学研究所光量子工学研究センター先端光学素子開発チームの細畠拓也研究員、山形豊チームリーダー、高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所の山田悟史助教、京都大学複合原子力科学研究所の日野正裕准教授らの共同研究グループは、金型用の超精密加工技術と金属多層膜の成膜技術を融合させることで、金属材料のみで構成される中性子集束ミラーの開発に成功しました。

本研究成果は、低速中性子ビームの輸送および集束手法を大きく変え、中性子ビーム利用の発展に大きく貢献すると期待できます。中性子集束ミラーを実現するためには、精密な曲面基板の上に「中性子スーパーミラー」と呼ばれる金属多層膜を成膜する必要があり、その基板には0.1 ナノメートル(nm、1nm は10 億分の1 メートル)級の滑らかさが求められます。しかし、従来はガラスやシリコンといった硬く脆い材料が採用されていたため、大型化や複雑形状への対応が困難でした。

今回、共同研究グループは、レンズ金型用の無電解ニッケルリンメッキを用いることによって、金属材料のみで基板を製作する方法を確立し、実用化に十分 な約0.1 mm 幅の集束ビームを実現しました。この中性子集束ミラーは、耐放射線性の高い金属材料のみで構成されており、従来は困難であった大強度中性子 源近傍でも利用可能です。また、金属は多種多様な形状に加工できるため、より複雑で高機能なミラーの開発につながります。具体的には、ナノ構造の空間的な分布を高分解能で捉えるマッピング計測や、顕微法を利用したイメージングまで、さまざまな測定への応用が考えられます。

本研究は、米国の科学雑誌『Optics Express』の掲載に先立ち、オンライン版(9月10日付け)に掲載されました。

詳しくは プレスリリース をご参照ください。

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