筑波実験棟と月(撮影:荒岡修)

【KEKエッセイ #52】 「月の満ち欠け」と宇宙の空間認識の難しさ

天文現象の説明は難しいものです。地球から見える太陽や月や星の動きの様子を天動説的に説明し、さらにそれらの動きを地球の外から眺めて地動説的に説明すれば事足りるというわけではありません。難しいのは、地動説

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birdwatching

【KEKエッセイ #51】 KEK構内にいるキツツキ

梅雨入り間近の6月上旬、理論センター長のHさんと理論秘書のI岡さんとO野さんから、「キツツキが木をつついているような音がする」との情報がもたらされました。Hさんが録音した、"その音"も聞かせていただき

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2003年、筑波山の前に立つ戸塚洋二機構長

【KEKエッセイ #50】ノーベル賞を考える

今年のノーベル賞の発表がいよいよ来週に迫ってきました。第40回のKEKエッセイ「小林・益川理論とピラミッドをつなぐもの」で、小林誠・KEK特別栄誉教授と益川敏英・名古屋大学特別教授がノーベル物理学賞を

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【KEKエッセイ #49】天使と素粒子

現代物理学では素粒子は大きく2種類に分類されます。フェルミ粒子とボーズ粒子です。素粒子はそれこそ「素」なので、どれも完全に同一で、す。区別がつきません。このため2つの素粒子を入れ替えた時に起きる現象を

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帰国便に乗り損ねて思いがけず実現したイスタンブール市内観光(撮影:瀬戸秀紀)

【KEKエッセイ #48】ああ、海外出張‥

新型コロナウイルスの感染拡大で私たちの生活がさまざま変化しましたが、なかでも大きく変わったことの一つが、海外との行き来が不自由になったことだと思います。研究者にとって、国際会議で最新の研究内容を発表し

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標準模型は古い大きな温泉宿のようなもの(絵:三原智)

【KEKエッセイ #47】増築を重ねた温泉旅館に隠された別館~ミューオンが切り拓く新しい物理学

素粒子「ミューオン」の「磁気モーメント」を調べる「ミューオンg-2実験」の測定結果が4月8日、米国フェルミ国立加速器研究所から報告されました。素粒子を一つの磁石に見立てた時、その磁石の強さを磁気モーメ

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KEK-PS 8GeV達成記念集合写真(左の白いジャケットの方の右から顔を出しているのが鎌田名誉教授)

【KEKエッセイ #46】記憶の奥底にある”緑色の画面”

KEKは今年で創立50周年を迎えました。KEK最初の加速器KEK-PSで研究者生活を始めた私にも、研究者として48年の歳月が流れました。そんな私に広報室長から「今回のエッセイはKEKの研究生活で一番う

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故・立花隆著『小林・益川理論の証明』背景は小林ホール(撮影:引野肇)

【KEKエッセイ #45】ジャーナリストで評論家の立花隆さんが4月30日にお亡くなりになりました

ジャーナリストで評論家の立花隆さんが4月30日にお亡くなりになりました。小林誠・益川英敏両博士は2008年、彼らの「CP対称性の破れの起源の発見」の功績でノーベル物理学賞を受賞しましたが、それは小林・

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構造生物学研究センターの結晶化ロボット

【KEKエッセイ #44】加速器と生体分子研究をつなぐ「お皿」のひみつ

2021年春の科学技術週間 オンライン施設公開では構造生物学研究センターの結晶化ロボットの動画を紹介しました。ただ、話が細かすぎて、ロボットが2つの液を混ぜるとき実際に何をやっているか、明快な説明がで

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Nb3Snの超伝導性能試験の準備。針金のように見えるのがNb3Sn。(撮影:松井龍也)

【KEKエッセイ #43】超伝導電磁石材料の開発競争を制するのは誰?

加速器には数多くの最先端技術が使われています。その中の一つに、私が研究開発している超伝導電磁石があります。超電導電磁石は通常の電磁石よりはるかに強力な磁力を発生するので、加速器の中の荷電粒子を効率よく

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将来はAI同士で商談する?(イラスト:松井龍也)

【KEKエッセイ #42】コンピューターと「あうんの呼吸」で設計する日

機械屋の私は時々、馴染みの機械加工業者と「あうんの呼吸」でもって仕事を進めます。いま人工知能(AI)がブームですが、このあうんの呼吸も近い将来、AIに置き変わるのでしょうか。私が、あうんの技術を習得し

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KEK2号館の桜(2021/3/24)撮影:荒岡修

【KEKエッセイ #41】現代宇宙論と素粒子論で哲学者カントに挑戦

イマヌエル・カントは18世紀後半に活躍したドイツ(プロイセン)の哲学者です。それまでの哲学が自然の摂理の究極的な解明を求める傾向だったのに対して、カントは真っ向から否定しました。これを「純粋理性批判」

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総研大ジャーナル2号(2002年)

【KEKエッセイ #40】小林・益川理論とピラミッドをつなぐもの

はじめまして。私は新聞社で長く科学記者として働いた後、名古屋大学で特任教授を3年半務め、昨年9月にKEKの監事に就任しました。KEKと名大とは深いつながりがあります。いうまでもなく、「小林・益川理論」

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ドゥニ・ペレガリックス博士が描いた「グリーンILC」のイメージ

【KEKエッセイ #39】地球環境に優しい「国際リニアコライダー計画」

2015年12月に世界中の国が合意した「パリ協定」では、温室効果ガス排出量の実質ゼロを今世紀後半に実現することが目標です。そのころにはきっと、世界中の素粒子物理学者の期待を集める夢の直線衝突型加速器「

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Q. KEKで最も人気のある見学施設は何でしょうか? A. コッククロフト・ウォルトン型加速器です。

【KEKエッセイ #38】雑学とサイエンスのはざまで

世界で月間3億人が利用するというQ&Aサイト「Quora(クォーラ)」は、「世界中の知識を共有し、広め深めること」をミッションとして掲げています。ネット上の知識共有サイトという意味ではWikipedi

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KEK物質構造科学研究所・放射光実験施設フォトンファクトリーの実験ホール(撮影:荒岡修)

【KEKエッセイ #37】協奏的な量子ビーム利用で物性発現機構を探る

いま、空前の量子ブームです。そのきっかけの一つが、2019年10月にグーグルが「量子超越を実現した」という論文を公開し、量子コンピューターへの期待が一気に高まったことかと思います。なにしろ、最新のスー

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KEKの北、筑波山の麓にある椎尾山薬王院の池。池のメダカたちは水の存在を感じているのでしょうか。(2020年11月19日 写真撮影:MITSUKO)

【KEKエッセイ #36】私たちは素粒子の海の中で暮らしている

ニュートリノ天文学の開拓で2002年のノーベル物理学賞を受賞した、小柴昌俊先生が11月12日に亡くなりました。このニュートリノという素粒子は、いったん生まれると寡黙なまでに飛び続け、周囲とほとんど相互

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冬空のつくばキャンパス。正面後方は筑波山(撮影:引野)

【KEKエッセイ #35】“役に立つ研究”と“役に立たない研究”

素粒子「ニュートリノ」を捕らえてノーベル賞を受賞した故・小柴昌俊さんを取材していた新聞記者が、何気なく「ニュートリノ研究は何の役に立つのですか」と質問して、「役に立たないし、儲かりもしないよ」と小柴さ

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KEK構内に残されている高エネルギー物理学研究所の看板

【KEKエッセイ #34】草競馬場→ゴルフ場→高エ研

KEKのつくばキャンパスはもともと使われていないゴルフ場だった。そのころの住所は茨城県筑波郡大穂町。筑波研究学園都市の建設が決まり、その土地は1971(昭和46)年に高エネルギー物理学研究所(KEK)

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ニオブ塊の断面

【KEKエッセイ #33】Everyday、ニオブ

国際リニアコライダー(ILC)の建設候補地の岩手県から、地域の農家グループの研修旅行として、KEKに見学に来られたご婦人が感激して、空洞製造技術開発施設(CFF)の説明担当の私にこう言われました。事前

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宇宙線を観ることのできるスパークチェンバー

【KEKエッセイ #32】元素はいつどこで生まれたの?

私たち物理学者が素粒子物理学や宇宙論・宇宙物理学の立場から「物質の起源」を探る時は、それまでの宇宙の歴史上、全く存在していなかった大昔に、いつどこでどのようにして物質は生まれたのかということまで徹底的

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宇田川榕菴銅像(提供: 津山洋学資料館)

【KEKエッセイ #31】「珈琲」「元素」を生んだ幕末のサラブレッド

最近、「喫茶店」という言葉をめったに聞かなくなりました。「スタバ、行こう!」だの、「ドトールで待ってる」だのと、若い人はチェーン店を名指しして呼ぶようです。店名が変わっても、飲むものは「コーヒー」のま

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【KEKエッセイ #30】シヴァ神は素粒子物理学を踊る

素粒子物理学の世界的な拠点「欧州原子核研究機関(CERN)」の本館から少し離れた39号館と40号館の間の広場に「踊るシヴァ神」が展示されています。この像はCERNとインドとの長い結びつきを祝うため、イ

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【KEKエッセイ #29】チコちゃんは知っていた!ゴムはなぜ元に戻るのか

タイヤやスポーツ用品、免震材料など日常のさまざまな場面で使われるゴム。引っ張ると伸びて、緩めると元に戻るのはなぜか、を理解するには物理学の知識が必要です。また、ゴム材料としての性能を上げるための研究で

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