中性子基礎物理研究

   

超冷中性子を用いて中性子の基本的な性質を調べます。

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目的・ビジョン

中性子をすべての物質が凍り付く温度まで冷却し、物質容器に閉じ込めます。それにより、 容器内で中性子の性質を精密に調べ、宇宙における物質創成の謎に迫ろうとしています。

概要

KEK で始められた超冷中性子(UCN)研究を基礎に、大阪大学核物理研究センター (RCNP)でのKEK、阪大、東北大の共同研究で、世界最高のUCN強度を実現しました。現在、中性子の電気双極子能率(EDM)の測定実験を進めています。2011年2月には、将来の発展を見据え、UCN強度をさらに上げるため、KEK、RCNP、TRIUMF、Winnipegの間でUCN研究に関する協定書を取り交わしました。この協定書に基づき、KEK、RCNP、阪大理、東工大、TRIUMF、Winnipeg、Manitoba、UBCの間で共同研究が始められています。

UCNは容器中に閉じ込めることができます。中性子の 大きさは物質内の原子間隔(数Å)の10万分の1で、自然界では波の形で存在 。中性子波は、物質内の原子核の強い力で歪められ、はじき返されます。この原子核の斥力は、エネルギーが高く高温の中性子に対しては小さいことが知られており、 それは波長が原子間隔よりはるかに短くなるためです。温度が低い熱中性子や冷中性子では、波長は原子間隔と同程度になり、斥力は協調して働くようになります。そして、絶対温度0.003度以下の中性子、つまりUCNになると、波長は500Åを超え、物質表面で全反射し、物質容器内に閉じ込めることができるのです。また、磁気ポテンシャルの中にも閉じ込めることができます。UCNは微弱な力に敏感であり、容器に電場をかければ、スピン才差運動の観測から、EDMを測定できるようになります。本グループは世界最強のUCNと次世代EDM測定法を用いて、測定感度を1~2桁改善し、時間反転対称性を破る力を解明し、宇宙における物質創成の謎に迫ろうとしています。

補足説明

image003.jpg超冷中性子生成

image007.jpgエネルギー測定

image009.jpgスピン才差運動の観測

image005.jpg貯蔵実験

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