極微の世界の分子動画カメラ
オーロラの形成、地球大気の動き、地球内部のマグマの動き、コーヒーにミルクを入れて混ざりつつある状態。この様に、物質やエネルギーの流入や流出がある状態を「非平衡状態」と言います。非平衡状態は、まさにものが動的に変化している状態で、溶液中のさまざまな化学反応や、光で駆動する高速スイッチング素子など、未来のわたしたちの生活に密接に関係した技術開発の種が無数に含まれています。
分子や原子といった極微の世界を動画で捉えるためには、速いシャッタースピードを持つ分子動画カメラが必要です。KEKのPF-ARは、放射光を「パルス状のX線」として利用できるユニークな光源加速器です。そこで得られる放射光X線は、100億分の1秒という速いシャッタースピードを持つ魅力的な分子動画カメラとなります。
より速い反応を捉えるために、KEKでは短パルスの光を発生するERL(エネルギー回収型ライナック)を光源加速器として用いる技術開発を推進しています。