Super High Resolution Powder Diffractometer
SuperHRPDは100メートルに及ぶ長尺ビームラインの先の専用実験棟に設置されている
SuperHRPD本体の概念図(左)と写真(右)
概要
超高分解能粉末回折装置SuperHRPDは、結晶中の原子の配列を世界最高の精密さで調べることができます。
中性子線を結晶に入射すると、中性子線は結晶により散乱されますが、散乱された中性子は波のように干渉しあって干渉縞を生じるようになります。この現象を回折と呼びます。中性子の干渉縞(回折パターン)を丁寧に観測することで結晶中の原子の配列を知ることができます。
SuperHRPDの特徴は、世界でもっとも精密に原子の配列を調べる点にあります。 "どこまで精度よく調べられるか"という測定・識別の能力を「分解能」という数値で表しますが、SuperHRPDはこの数値で 2008年6月末世界最高を記録しました。この分解能を達成するために、SuperHRPDは100メートルに及ぶ長尺ビームラインで中性子を輸送しています。
SuperHRPDは結晶中のわずかな原子配列の変化に敏感で、そのような研究にもっとも適しています。原子配列の変化に伴って回折パターンが変化しますので、回折パターンの変化を解析することで、結晶中の原子の配列の変化を世界でもっとも精密に調べることができます。結晶では、温度・圧力・電場・磁場などが異なる条件下では結晶中の原子配列が変化し、その結果、物質としての性質(物性)も変化します。従って、SuperHRPDは、原子配列と物性の関連を調べ、物質の性質の起源を明らかにし、それを改善させていく上で非常に重要な貢献が期待されています。
イオン導電体Rb4Cu16I7.2Cl12.8の構造解析結果
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