低エネルギー中性子を用いた基礎物理研究

電気的に中性な素粒子である中性子の崩壊・散乱・干渉を通じて様々な基礎物理研究を行います。

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目的・ビジョン

中性子は電気を持たない、寿命が長い、などの特徴を持っています。特にエネルギーが5ミリ電子ボルト(5meV) 以下のエネルギーがとても低い中性子を「冷中性子」と呼んでいます。冷中性子は、「重力から受ける力」、「磁場から受ける力」、「原子核から受ける力(強い力)」が同程度という不思議な性質も持っています。この性質は、同じエネルギーでいろいろな実験ができるという利点を持っています。これらの特殊な性質を組み合わせて、他の粒子にはない特有の精密測定を行っています。

概要

bender262.jpg茨城県東海村にある大強度陽子加速器施設(J-PARC) の物質・生命科学実験施設の中性子ビームラインBL05には、中性子光学基礎物理実験装置(NOP : Neutron Optics and Physics)が建設されており、2008年12月からビームの受け入れを開始しました。NOPビームラインは、「偏極ブランチ」、「非偏極ブランチ」、「低発散ブランチ」と呼ばれる3つのブランチを備えており、KEK、東大、京大、阪大、東北大、理研、JAEA、九大 のグループが協力して実験を行っています。偏極ブランチでは、現在中性子崩壊寿命の精密測定が始まっています。中性子の寿命は、初期宇宙元素合成において軽元素比を決定する重要な量です。このため、J-PARCでの冷中性子を用いた精密測定に期待がかかっています。非偏極ブランチでは、キセノンやアルゴン、クリプトンといった希ガス原子による中性子散乱を精密に測定し、中性子と原子の間に働く未知の「中距離力」の探索が計画されています。低発散ブランチでは、中性子干渉計を用いて重力の精密な測定を行う予定です。また、J-PARCのLINACのビームを利用して「超冷中性子」を大量に発生させ、中性子の電気双極子能率を測定する実験を計画しています。非偏極ブランチの冷中性子を機械的にさらに冷やして超冷中性子を発生させる装置を設置し、現在計画実現に向けた開発研究を行っています。

関連するWebページ

中性子光学基礎物理研究グループ http://nop.kek.jp/

関連する研究施設

J-PARC MLF/BL05 NOPビームライン /ja/Facility/IMSS/MLF/KENS/BL05/