実験的宇宙論研究

宇宙マイクロ波背景放射(Cosmic Microwave Background: CMB)の精密観測による宇宙の起源の探究と量子時空物理学の研究を行います。

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目的・ビジョン

宇宙の起源とは? 人類が永年抱いてきたこの究極の問いに、科学の目で実証的に挑みます。そのために、超伝導、極低温といった極限技術を駆使して新しい装置を考案・作成し、観測を実施します。現在は、特に宇宙最古の光ともよばれる「宇宙マイクロ波背景放射」に着目して研究を推進しています。宇宙の起源の解明と、それを支配した量子時空の法則の探究が目的です。

概要

わたしたちが現在存在している宇宙は、超高温・超高密度の火の玉状態から、約137億年かけて現在の大きさの宇宙に膨張したと考えられています。これがビッグバン宇宙論です。では、このビッグバンはどのようにして始まったのでしょうか。ビッグバンの前には何があったのでしょうか?それに答えるのがインフレーション仮説です。インフレーション仮説によると、宇宙はビッグバン以前に、急激な加速膨張を起こしたとされています。それは、アメーバ程度の大きさが一瞬で銀河系の大きさになってしまうほどの激しさでした。この膨張速度は光速度を遙かに越えています。この急激な膨張の源は「真空」のエネルギーです。 その「真空」エネルギーの「潜熱」がインフレーション膨張後に一気に開放されビッグバンの引き金になったのです。そのような急膨張の際には、原始重力波 (インフレーション重力波)が生成されたと考えられています。
わたしたちは、このインフレーション重力波を観測し、インフレーションの証拠をとらえるために、超高感度CMB偏光測定実験QUIETとPOLARBEARを推進します。 宇宙マイクロ波背景放射(CMB)を高精度で測定し、インフレーション重力波から発生する「Bモード」と呼ばれる特殊なCMB偏光パターンを見つけるのが目的です。その高精度の観測を成功させるためには、大気、特に水蒸気によるミリ波吸収の影響を最小限に抑えることが必要です。そのために、ほぼ一年中乾燥しており、大気・水蒸気の影響を最小限に抑えることのできる高度5,000mを超えるチリ・アタカマ高地において観測を行います。
ただし、どんなに高地であっても地上実験ではどうしても避けられない限界(固定された観測地と言う制限からする限定された視野、大気などによる系統誤差)があります。これを乗り越えるために、宇宙空間においてCMB偏光超精密測定を世界に先駆けて行うことを計画し、人工衛星 の概念設計と開発研究を推進しています(LiteBIRD計画)。

関連するWebページ

KEK CMBグループ http://cmb.kek.jp/
科研費新学術領域「背景放射で拓く宇宙創成の物理」 http://cbr.kek.jp/outreach/
POLARBEAR実験  http://cmb.kek.jp/polarbear/
QUIET実験  http://quiet.kek.jp/
LiteBIRD Working Group web page  http://cmb.kek.jp/litebird/

関連する研究グループ

KEK CMBグループ http://cmb.kek.jp/
POLARBEARグループ  http://cmb.kek.jp/polarbear/
QUIETグループ http://quiet.kek.jp/
LiteBIRD Working Group http://cmb.kek.jp/litebird/
測定器開発室超伝導検出器グループ  http://cmb.kek.jp/cmbcamera/

関連する研究施設

先端計測実験棟大実験室
超伝導低温工学センター第4低温棟