放射線遮蔽グループ

物質中での放射線が、どれだけ動き何に変化するか、研究しています。

目的・ビジョン

加速器で発生する放射線からの人体・機器の防護、また医療・工業での放射線利用のためには、物質中のどこで散乱・透過・吸収され、熱・放射能を作るか、物の中での放射線の動き方についての研究が必要です。動きをシミュレーションするシステム開発と精度の向上、その精度比較のための正確な測定を、大学等と共同で行っています。このシステムは、医療放射線分野、加速器工学、宇宙工学などで広く使われています。

概要

汎用の電子・光子輸送計算コード EGS の開発

KEK,ミシガン大、スタンフォード大の国際的な共同研究・開発が行われている電子・光子の動きをシミュレーションできる計算コードです。ユーザーサポートとして、研究会(100名参加を年に1回 )、講習会(初級、上級、地方、国外)参加者数: 30-70名/回を行っています。また低エネルギー光子の取扱の精度向上のため、放射光を使用して散乱測定を行っています。

image001.jpg図1 KEK で毎年行われている EGS講習会の写真。近年は医療応用のための参加者が多くなっています。

image002.jpg図2 X線管での電子と X線の挙動のEGSシミュレーションの例。電子は電場の影響でカーブしています。

汎用の粒子・重イオン輸送計算コード PHITSの開発

JAEA、KEK、高度情報科学技術研究機構(RIST)が、共同研究で開発を行っています。陽子・中性子・重イオンなどの挙動をシミュレーションします。図3は粒子線治療の詳細計算の例です。400 MeV/uの 12C とそれが水中で破砕してできる二次粒子を時間を止めて見た図です(100ピコ秒間隔)。図3は 12Cが止まる瞬間(z=0cmから 1.55ナノ秒後)、図4はその 300ピコ秒後。12Cビームは直径 5 mmで 1000個入射。大角度では中性子と陽子、前方は 4He, 中性子、陽子が主成分です。

image005.png図3 12Cが止まる瞬間のシミュレーション図

image007.png図4 12Cが止まって300ピコ秒後のシミュレーション図

高エネルギー加速器遮蔽に関する研究

加速器で発生する放射線のうちでも、高エネルギー中性子は止めにくい特徴があります。精度の良い遮へい性能の測定や、シミュレーションとの比較には、決まったエネルギーの中性子が必要です。大阪大学核物理研究センター(RCNP)には、100-400 MeV 単一に近いエネルギーの中性子を発生させる施設があり、 KEK、産総研、京大、東北大、理研、阪大の研究者と共同研究を行っています。またこの場所で、中性子検出器の校正も行っており、CERNな どの外国の研究者も参加しています。図5にRCNP遮蔽実験の様子と、図6に250, 400 MeV Li(p,n) 準単色中性子による、Li標的から 1766 cm地点における中性子線量とその遮蔽体厚さに対する減衰図を示します。中性子線量は国内外いくつかの標準的スペクトロメータや線量計によって測定たものです。計算は遮 蔽体の中性子透過を計算しそのエネルギースペクトルから線量を求めた暫定結果(2011/2)です。

image005.jpg図5 RCNP遮蔽実験

image006.jpg図6 中性子線量とその遮蔽体厚さに対する減衰図。

また、より実用的な体系での加速器の遮蔽性能の測定と、シミュレーションの精度検証のため、米国フェルミ研で、JAEA、KEK、京大、清水建設などの共同研究で120GeV陽子による2次中性子の測定を行いました。JASMIN計画の測定値解析を図7と図8に示します。米フェルミ加速器研究所のPbarターゲットステーションにおける120 GeV陽子生成二次中性子の実験解析です。標的上方の5点に設置した209Bi試料が二次中性子によって破砕した203, 204, 205, 206Biの生成量の測定値と PHITS 計算値との比較です。図7が計算体系。209Biから203Bi, 206Biが出来るしきいエネルギーはそれぞれ23 MeVと45 MeV であり、それより高いエネルギーの中性子の生成と減衰が実験と計算ので良い一致が図8に示されています。

image007.jpg図7 米フェルミ加速器研究所のPbarターゲットステーションにおける120 GeV陽子生成二次中性子実験の計算体系

image008.jpg図8 測定値と PHITS 計算値との比較

関連するWebページ

http://rcwww.kek.jp/research/egs/
http://rcwww.kek.jp/research/shield.html