SCD

超伝導検出器(Super-Conducting Detectors)による超高感度光イメージング技術とそれを用いた応用技術の開発

目的・ビジョン

本プロジェクトは、超伝導技術に基づく革新的な検出器技術及びそれを用いた応用技術の開発を目的としています。特に宇宙マイクロ波背景放射によるミリ波イメージング、液体ヘリウムを用いた暗黒物質探索を目指す極低温環境下で作動する高感度紫外線検出器、および遠赤外線エネルギー測定用センサーによる宇宙背景ニュートリノ崩壊事象観測への応用を目指しています。また、それ以外の広い応用についても開拓しています。

概要

超伝導体では、電子がクーパー対を形成することにより、完全反磁性・電気抵抗ゼロ・磁束の量子化といった超伝導体固有の特徴が生じます。このクーパー対は、ミリ電子ボルト程度の非常に小さい結合エネルギーを持つために、ミリ波程度のエネルギーが小さい光子でも破壊されます。この特徴を活かせば、従来の半導体検出器では到達できない高感度の光センサーを作製でき、ミリ波からガンマ線の幅広い帯域を単一技術で高感度の検出が可能になります。本プロジェクトでは、Microwave Kinetic Inductance Detector (MKID)とSuperconducting Tunnel Junction (STJ)の開発を中心に行っています。これらの技術は、検出技術に革命を起し、宇宙物理学などの様々な分野において革新的な進展を引き起こすと期待されています。本プロジェクトと密接に関連するサイエンスとして、以下の三つを挙げます。

1)宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の偏光度測定:CMBに刻印された微弱な偏光を精密に観測することにより、インフレーション時に発生した原始重力波を検出し、宇宙誕生の謎に迫ります。
2)新規な暗黒物質探索:液体ヘリウムのような軽い標的を用いることにより、これまで詳しく調べられていない暗黒物質の性質の解明を目指します。
3)ニュートリノ崩壊による赤外線光子の検出:異なるニュートリノが違った質量を持つことにより、重いニュートリノは軽いニュートリノと光子に崩壊すると考えられています。この光子は赤外線の波長を持ち、光子のエネルギーは低いですが、その測定によりニュートリノの質量や寿命を決定できるだけなく、ビックバンの名残である宇宙背景ニュートリノを史上初めて観測できる可能性があります。

SCDlayout_110501.jpg超伝導検出器によるミリ波検出の概念図 ©Rey.Hori

(上図)MKIDの概念図。(下図)液体ヘリウムを用いた暗黒物質探索用検出器の概念図。©Rey. Hori

関連するWebページ

測定器開発室SCDグループ http://rd.kek.jp/lab_02_3.html
岡山大学理学部物理学科宇宙物理実験グループ
http://fphy.hep.okayama-u.ac.jp/sakuda-ishino/cmb.html
ハフニウムSTJ開発グループ
http://hep-www.px.tsukuba.ac.jp/~takemasa/STJ_Web/
KEK CMBグループ http://cmb.kek.jp/
科研費新学術領域「背景放射で拓く宇宙創成の物理」 http://cbr.kek.jp/outreach/
LiteBIRD Working Group http://cmb.kek.jp/litebird/

関連する研究施設

先端計測実験棟大実験室