サイエンスキャンプ「Belle Plus」に全国から高校生が参加

2017年08月18日 トピックス

2017年8月18日

高校生のための素粒子サイエンスキャンプ「Belle Plus (ベル・プリュス)」が8月7日から4日間、つくばキャンパスで開かれ、全国から集まった高校生24人が素粒子研究の現場で課題研究に取り組みました。

このキャンプは、素粒子実験の研究現場を実際に体験することで、KEKの研究の意義を理解してもらうとともに、研究の奥深さや広がり、一つの結論に到達するまでの難しさを体得してもらうことを目的としています。次世代を担う研究者の育成につながることを願い、2006年から行われています。11回目の今回も、KEKと奈良教育大の共催で開かれました。

測定器に入射して来る宇宙線の速度を測定する方法について講義を受ける「宇宙線測定班」の高校生

パルス信号処理用電子回路機器の使い方を教わる「ワイヤーチェンバー班」の高校生

科学を志す高校生にチャンスを与えたいとの運営スタッフの思いから、住む場所や家庭の経済状況に関わらず、参加する高校生には、KEKまでの旅費・宿泊費を全額サポートする取り組みでもあり、今回は、KEKからの助成金に加え、不足する運営資金を確保するため、初めてのクラウドファンディングにも挑戦。目標額の2倍以上の支援を得て、北海道から沖縄県まで全国から幅広く、男女合わせて24人の生徒を招待することができました。

集まった24人の高校生たちは、片岡佐知子・実行委員長(奈良教育大学)の「充実した4日間にしていきましょう」という呼びかけに呼応するようにキャンプをスタート。「B-Lab班」「宇宙線測定班」「ワイヤーチェンバー班」「理論班」の計4班に分かれ、講師役の研究者と大学院生のTAの指導の下、それぞれ与えられた課題に挑戦し、最終日に活動の成果を発表しました。

Belle実験のデータから新粒子を探し出すプロセスを学習する「B-Lab班」の高校生

発表会での段取りについて議論する「理論班」の高校生

B-Lab班は、1999年から2010年まで稼働したBelle測定器を使った実験で実際に収集されたデータの一部を、自作の解析プログラムにかけ、新粒子を探すというデータ解析プロセスを体験。東京都から参加した高校1年の男子生徒(15)は「研究と同じことが体験できるとは驚きです。知らなかった公式を学ぶこともできて、素粒子の世界に興味を持ちました」と感想を語りました。

宇宙線測定班は、机の上と下に設置した二本の測定装置「シンチレータ」で、宇宙から降ってくる宇宙線を捉え、その測定データから速度を計算する取り組みに挑戦。福岡市から参加した高校2年生の男子生徒(16)は「目的は簡単だけど、データの読み方がややこしく、正しい値を出すのは大変でした」と苦労した様子で話しました。

筑波実験棟を訪れ、実験ホールの回廊から準備中のBelle II測定器を見おろす生徒たち

地下4階のトンネル内にあるSuperKEKB加速器を見学する高校生

ワイヤーチェンバー班は、ガスを満たした容器内にさまざまな太さのワイヤーを張り、荷電粒子の飛跡を捉えるワイヤーチェンバーを自作し、X線源やベータ線源などを使ってその性質を調べる試みに挑戦。札幌市から参加した高校1年の男子生徒(15)は「小学校時代に作ろうとしたガイガーカウンターの原理と同じ。そのとき失敗した理由がよくわかり、すごく面白かったです」と満足そうにコメントしました。

理論班は、標準模型によって記述される素粒子の振る舞いを、ファインマン図に書き起こす演習をこなし、B-Lab班の解析データからどんな粒子が誕生したのかを推測する課題に挑戦。沖縄県から参加した高校1年生の男子生徒(15)は「実験の結果を理論で説明することに興味があり、理論班を選びました。難しい問題も、先生たちがやさしく教えてくれて、うまく答えを導き出すことができました」と笑顔で話しました。

サイエンスカフェや、実験実習、KEK内の施設見学など、盛りだくさんの3泊4日に、高校生たちからは「グループで夜遅くまで宿題に取り組み、議論したのが楽しかったです」「実験施設の大きさを体感することができました」などの声が聞かれました。

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