2017年07月24日

【KEKのひと #10】「音楽も基礎科学も、生きていく上で絶対に必要なもの」江口洋さん(えぐち・ひろし)

4歳でピアノを始め、人前で演奏する機会も多い江口洋さん。高校の時、物理は落第寸前、大学では文系(国際関係論)という物理には縁のなかった江口さんですが、物理学の最先端の研究機関KEKで、研究者の研究活動を支える事務職員として働いています。音楽活動とKEKでの仕事について、インタビューしました。

物理には縁のなかったというKEK職員の江口洋さん(撮影:高橋将太) ―ピアノはいつから始めたのですか。
母が自宅でピアノ教室をやっていて、4歳から始めました。バッハの練習が肌に合わなくて嫌になり、小学校5年生のときに一度やめました。現在は良さがわかってきましたが、当時は苦しかったですね。その後、大学受験のストレス解消にと、高校2年生のときに再開。勉強1時間、ピアノ2時間というペースで本格的に再開してしまいました(笑)。ショパンとベートーヴェンばかり弾いてきましたが、最近は路線を変更しドビュッシーやグリーグなどにも取り組んでいます。

―今はどのペースで演奏を?
半年に約3曲を仕上げるペースで、週に2~3回練習しています。休日と、平日の終業後時間が確保できた日に、3時間ほどやっています。KEKの職員有志で行う芸術祭や、大学時代のピアノ・室内楽サークルのOB演奏会などで演奏しています。今年から、産業技術総合研究所や国立環境研究所など、つくば市内の研究機関との交流音楽会も開催され、そこに出演しています。音楽を通していろいろな人とつながりができるのが良いですね。

―KEKに入ったのはどのようなきっかけで?
大学4年生の時、国立大学法人等職員採用試験*に合格し、その次のステップで国立大学法人や大学共同利用機関法人が集まる説明会に参加しました。そこで偶然KEKのブースを見つけて、「何をやっているところだろう?何を加速するのだろう?」とぶらり訪ねたところ、その規模や国際性に強いインパクトを受けました。面接を経て、縁あって採用が決まり、今年で4年目です。

―現在はどのようなお仕事を?
KEKで行っている外部資金による研究プロジェクトの会計・経理面での管理や、資金拠出機関と研究者間の仲介役として必要な事務手続きなどを行っています。多くの大きなプロジェクトの支援をさせていただいているので、責任は大きいです。それだけに、プロジェクトの一端を担えていると実感でき、やりがいも大きいです。

―この先の目標はありますか。
事務職員には短期のサイクルでの人事異動があるため仕事面で具体的な目標を描きにくいですが、いずれ事務職員の立場から、組織の経営や研究者の研究活動に役に立つ知見を発信できたらと思います。そのためにも研究機関職員として必要な素養を身につけるべく、勉強を続けていきたいです。

―音楽活動も続けていかれるのですね。
個人も、社会も、音楽に限らず美術や文学、スポーツを楽しむ余裕があってこそ、豊かになるものだと思います。近年は、それらの分野が(経済的な意味において)役に立たない、なくても生きていけるものとして、どんどん予算も削減されてしまっていて、社会全体に余裕がなく、なんだか寂しいですね。(KEKの研究分野である)基礎科学が社会におかれている立場もそういう意味では同じと感じています。音楽も基礎科学も、何の役に立つのかという人はいますが、個人としても、社会としても生きていく上で絶対に必要なものだと思います。

―ありがとうございました。

(聞き手 広報室・牧野佐千子)

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研究者、ユーザー、技術者、事務系職員など、KEKに関わる人たちにインタビューし、その分野に興味を持ったきっかけや日々の生活のことなど、一般記事などでは伝えられない素顔に迫る企画連載です。