第49回機構コロキウム「X線天文衛星ASTRO-Hの異常事象について」開催しました

2016年11月10日

2016年11月10日

10月6日、高エネルギー加速器研究機構(KEK)つくばキャンパスにおいて、宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所(ISAS)宇宙科学プログラムディレクタの久保田孝氏の講演による第49回機構コロキウム「X線天文衛星ASTRO-Hの異常事象について」が開催されました。

ISASはJAXAにおける宇宙科学研究分野を担っており、個々の大学では整備・維持が困難な科学衛星や観測ロケット、大気球、各種試験設備等の観測・研究用施設設備を大学の研究者の利用に供し、また、大学の研究者と共同研究を実施することで、宇宙科学研究の中核拠点として世界最先端の研究を行っています。

今回の講演では、ASTRO-Hの異常事象を主題として、宇宙科学分野での大型プロジェクトの運営や、異常事象の原因や背後要因、再発防止のため、現在ISASで進められているプロジェクト運営改革、そしてASTRO-Hで得られた研究成果が紹介されました。

講演の中で久保田氏は「何もないところから新しいことを行うことはリスクを伴う。ミスが発生することを前提として、事故を未然に防ぐ運用システムを構築してミッションを確実に行うことが重要であり、今回の失敗を真摯に受け止め再発防止策に活かす」と語りました。具体的な再発防止策の説明では熱心に聞き入る参加者の姿がみられ、質疑応答においても参加者からは、プロジェクトマネジメントや、異常事象発生時の対応、宇宙科学分野における人材育成など多くの質問が寄せられました。また、終了後にも質問する姿がみられ、世界最先端の大型プロジェクトの運営という共通のミッションを担うKEK職員たちの関心の高さが伺えました。

最後に久保田氏は、ASTRO-Hが試験観測中にペルセウス座銀河団を観測し、世界で初めて銀河団のガスの運動の観測に成功したこと、次世代の人工衛星用ネットワーク規格SpaceWireのJAXA標準を開発したこと、衛星の開発を通じた人材育成に触れました。

現在KEKとISASは、インフレーション宇宙を検証する、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)偏光観測小型科学衛星LiteBIRD計画を検討しています。両機関の研究協力が深まることで、既成の枠にとらわれない世界最先端のサイエンスを創出することが期待されます。

講演中の久保田孝 宇宙科学プログラムディレクタ(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)

熱心に聞き入る参加者の様子

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宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所
LiteBIRD