PFで実験を行った福島成蹊高校が「日本水大賞文部科学大臣賞」を受賞

2016年7月19日

微小生物を採集する福島成蹊高校自然科学部の生徒たち(同校提供)
KEKが研究協力を行った福島成蹊高校自然科学部の研究が、このほど「第18回日本水大賞文部科学大臣賞」を受賞しました。この賞は、水環境の健全化に貢献する様々な活動を対象に、社会的貢献度が高い水防災、水資源、水環境などの分野の中から、特に優れた活動を表彰するもので、国土交通省が主催しています。

同校自然科学部は、継続的に様々な微小生物の研究を行っています。今回受賞したのは、「福島原発事故後の茶屋沼の環境と微小生物~微小生物による汚染水から放射性物質の除去の可能性~」と題した研究で、シャジクモという藻類がストロンチウムイオンを吸着していることをつきとめたものです。

同部は、高校生・高等専門学校生を対象に、「自由な発想で科学やテクノロジーの可能性を追求し、世界を変えるアイディアにチャレンジする」ことを目的に、昨年夏から秋にかけて行われたプロジェクト「Science Jam」(主催:Google、協力:KEK等)に参加していました。そこで協力機関として参加していたKEKの物質構造科学研究所の足立伸一教授が、「どうすれば本当にストロンチウムが取り込まれているのか確認できるのか」と悩んでいた生徒たちに「KEKの放射光科学研究施設(PF)※1の光がその解析に使える」とアドバイス。放射光を使って環境問題に取り組んでいる東京大学の高橋嘉夫教授が、同時期にKEKのPFを利用していたため、高橋氏が生徒たちの実験サンプルを預かり、自らの実験サンプルと共に測定したところ、シャジクモがストロンチウムイオンを吸着していることを示すデータが得られました。同部は、微小生物が放射性物質を除去できれば、原発事故後の汚染水の除去に役立つと考え引き続き研究に取り組んでいます。

福島成蹊高校自然科学部の活動風景(同校提供)

同部の生徒は、今回の受賞の知らせに「とても驚きました。嬉しいです」と喜び、「これからも微小生物の放射線物質の除去の可能性について研究を続けて、実際原発事故後の汚染水の除去にも役に立てるようになれば良いと思います」と話しています。

原発後の汚染水の放射性物質の除去といった実用化のためには、どの程度吸着可能なのかなどの検討が必要ですが、足立教授は「高校生たちが環境問題に意識を向けるという意味で、とても良い取り組みだと思います。今後KEKの施設を使った何らかの共同研究もありえるかもしれないですね」と期待を込めて話していました。



※1 放射光科学研究施設(PF)

フォトンファクトリーは、加速器から発生する明るく波長の短い光「放射光」で、物質や生命を原子のスケールで観察する。現在、フォトンファクトリーにはPF (Photon Factory) リングとPF-AR(アドバンストリング)という2つの光源加速器がある。また、電子線形加速器を利用した低速陽電子実験施設もあり、特徴的な物質科学の研究が行われている。



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