一家に1枚「水素」の制作について

平成28年3月30日

大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構


・「水素」をテーマにした、文部科学省の行う「一家に1枚」シリーズポスターを企画・制作。
・4月の科学技術週間にあわせ、全国の小・中・高等学校、および協力科学館・博物館を通じて配布(合計約24.5万枚)、加えてつくば市内の児童(小学4年生以上)・生徒の全員に配布予定。
・配布にあわせてサイエンスカフェなども開催。

【概要】

文部科学省は、国民が科学技術にふれる機会を増やし、科学技術に関する知識を適切に捉えて柔軟に活用してもらうことを目的に「一家に1枚」ポスターを製作しています。平成17年より始まったこのシリーズは、今年で12回目になります。平成28年度の企画にあたり、KEK物質構造科学研究所の大友季哉教授、宇佐美徳子講師および広報コーディネーター餅田円、大島寛子から成るチームが提案する「水素」が採択され、科学技術週間(平成28年度は4月18日~24日)にあわせて発行、全国に配布されます。

2016年は英国の物理学者、ヘンリー・キャベンディッシュが水素を初めて発見して250年になります。また我々の社会では、燃料電池自動車や家庭用燃料電池(エネファーム)といった、水素をエネルギー源として利用する、水素社会へシフトしようとする転換期でもあります。水素という言葉を身近に見聞きするようになった今、水素に関する正しい知識を持ち、水素社会とは何かを考え、水素科学に関心を抱いてもらうことを目的に企画・制作しました。

このポスターでは、最も単純な元素である水素が、物質の中で多様な形態をとりながら、私たちの身の回りに存在していることを示しています。内容は主に「宇宙と水素」、「水素と生命」、「水素のキホン」、「水素を作る・使う」、「水をエネルギーに」、「水素を見る」から構成されています。

1.名称:一家に1枚「水素」

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2.製作・著作:文部科学省

3.企画・制作:大友季哉、宇佐美徳子、餅田円、大島寛子(KEK物質構造科学研究所)

4. 配布:全国の小・中・高等学校、中等教育学校・特別支援学校:約38,000件
      つくば市内小・中・高等学校の児童(小学4年生以上)・生徒:約20,000枚
      国立研究開発法人等文科省関連機関:約20件
      全国の協力科学館・博物館等:約200件

5. 関連イベント:科学技術週間の前後には、水素をテーマにした、サイエンスカフェを開催します。

   4月3日(日) 10:30~11:30/13:00~15:00 多摩六都科学館 
   4月17日(日)14:00~15:30 蒲郡市生命の海科学館
   4月23日(土)14:30~15:30 高エネルギー加速器研究機構
   4月24日(日)14:00~15:00 BiViつくば 交流サロン

【解説】
原子番号1番。水素は陽子1個、電子1個から成る、最もシンプルな構造をした元素です。それゆえに、電子をやり取りしやすく、陽イオンや陰イオン、そして水素同士や他の元素と結合して分子を作るといった、変幻自在な存在です。宇宙で最初に作られた元素である水素は星間物質、恒星、時にエネルギーへと姿を変え、地球に生命をも誕生させました。

現代社会に目を移してみると、至る所に水素があり、利用していることに気付かされます。生体内では、重量で約2/3を占める水として存在する他、DNAやタンパク質、脂質等生体物質の材料として、またプロトン(H+)としても存在し、様々な生命活動を担っています。物質材料においても、表面の酸化保護、不純物除去などに水素が利用されています。水素の変幻自在な性質を巧みに利用した機能性材料の創製など、水素を観測する技術の発展とともに、積極的に利用する研究も展開されています。

そして社会経済活動の根幹を担っている化石燃料もまた、元をたどると太陽で作られた水素の核融合による光エネルギーです。太陽光は、地球上の全ての生物が得ることができる唯一のエネルギー源であり、植物などの光合成により有機物へと変換されます。何億年という時間を経て、有機物は化石燃料へと変貌し、人類はエネルギーとして利用することで生活を豊かにしてきました。

近年、水素社会という言葉が広まり始め、クリーンエネルギーを担うエネルギー媒体としての水素が注目されるようになりました。燃料電池自動車や家庭用燃料電池(エネファーム)など、水素社会が確実に身近になりつつあります。二酸化炭素を排出しない利点が(うた)われる一方で、水をベースとした水素サイクルの実現には課題がまだ多く残っているのも事実です。

このポスターでは、広い時空間にわたって(あまね)く存在する水素を表現するとともに、未来につながる水‐水素サイクルを示しています。これら全ての構成要素を統一感あるものに仕上げるために、全体を柔らかいイラストタッチでまとめることにしました。そして時空間を変遷していく水素を示すべく、流れを矢印で表しています。宇宙、生命、物質、エネルギー、興味のあるどこから御覧いただいても、読み応えのある内容となっています。

2016年は英国の科学者、ヘンリー・キャベンディッシュが水素を発見して250年の節目の年です。そして、化石燃料依存から水素社会へシフトしようとする大きな転換期でもあります。このポスターでは、水素の科学に触れ、一人一人が水素社会について考えること、そして水素科学のフロンティアに気付き、関心を持っていただくことを目指しています

【問合せ先】
高エネルギー加速器研究機構 広報室
Tel:029-879-6047 E-mail:
茨城県つくば市大穂1-1

関連サイト

科学技術週間
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