西川公一郎名誉教授とK2K/T2Kコラボレーションが「ブレークスルー賞」を受賞

平成27年11月9日

報道関係者各位

大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構
<span class="caps"><span class="caps">T2Kコラボレーション
J-PARCセンター

高エネルギー加速器研究機構(KEK)の元素粒子原子核研究所所長である西川公一郎名誉教授、そして<span class="caps"><span class="caps">K2KおよびT2Kコラボレーション※1が、ニュートリノ振動の発見と研究についての功績を認められ、2016年の「基礎物理学ブレークスルー賞(Breakthrough Prize for Fundamental Physics)」※2を受賞しました。

「基礎物理学ブレークスルー賞」は、アメリカに本拠地を置くブレークスルー賞財団が授与する賞で、2012年にユーリ・ミルナー氏の提唱により創設されたものです。

今回の西川名誉教授とK2K/T2Kコラボレーションの受賞理由は「ニュートリノ振動という本質的な発見をし、素粒子物理学の標準理論を遥かに超える新しいフロンティアを開拓した実績」です。今回の同賞は、中国のDaya Bay(ダヤベイ)、カナダのSNO(スノー)、東京大学宇宙線研究所のスーパーカミオカンデ、そして前KEK機構長で現在岩手県立大学・鈴木厚人学長と同学長が東北大学で立ち上げたカムランドという、ニュートリノ振動の研究に功績のあった他の4つの実験コラボレーションと分かち合います。西川名誉教授は、加速器でニュートリノを人工的に作り出してニュートリノ振動を研究するK2Kコラボレーション及びT2Kコラボレーションを設立し、代表者を務めてきました。

授賞式は、カリフォルニアにあるNASAのエイムズ研究センターで現地時間の11月8日に行われました。2012年の本賞の設立以来、日本人が受賞するのは今回が初めてです。

西川名誉教授は受賞について以下のようにコメントしています。

「K2Kコラボレーション及びT2Kコラボレーションのメンバーの皆さんの、卓越した仕事と実験への貢献に感謝します。そして、1979年に高エネルギーの陽子加速器を実現し、日本の高エネルギー物理学を開拓した研究者の皆さんと、その後20年にわたり高エネルギー加速器を発展させてきたKEKの加速器グループの皆さんに感謝の意を表します。J-PARCにおける新しい加速器の建設と運転が成功したのは、J-PARCの加速器ディビジョンの皆さんの貢献によるものです。

さらに、スーパーカミオカンデの代表者として、またその後KEKの機構長として、K2K実験及びT2K実験の実現にあらゆる努力をして頂いた故・戸塚洋二KEK元機構長に感謝します。KEKの機構長として、K2K実験及びT2K実験におけるすべての重要な局面の決心をされてきた菅原寛孝KEK元機構長にも感謝の意を表します。

ニュートリノ振動を道具としてさらに研究をすすめることで、素粒子の3世代描像における長年の謎、ニュートリノセクターのCP対称性の破れや、標準理論の修正を迫る発見があるかもしれません。将来、若い研究者の皆さんがさらに革新的な研究を行って、新たに大きな研究成果が実ることを期待しています」。

【用語解説】

※1 <span class="caps"><span class="caps"><span class="caps"><span class="caps">K2KおよびT2Kコラボレーション
<span class="caps"><span class="caps">K2KおよびT2K実験を行う国際共同実験グループ。
<span class="caps"><span class="caps">K2K実験は、KEKのつくばキャンパスにある陽子加速器で作り出されたニュートリノを用いて、世界で初めて行われた長基線ニュートリノ振動実験である。つくばから神岡まで飛行中にミュー型ニュートリノが消失することを明らかにした。さらに消失率のエネルギー依存性はニュートリノ振動の予想と一致することを示した。

<span class="caps"><span class="caps">T2K実験はK2K実験を受け継いだ長基線ニュートリノ振動実験である。茨城県東海村にある大強度陽子加速器J-PARCの主リング陽子加速器を用いて強いミュー型ニュートリノビームを生成し、J-PARCから295km離れた池ノ山の地下深くの神岡鉱山にあるスーパーカミオカンデ検出器で検出する。これまでに、ミュー型ニュートリノが飛行中に電子型ニュートリノに変化したことを世界で初めて発見した。この発見により、ニュートリノにおけるCP対称性の破れの測定の可能性がひらけ、宇宙になぜ物質が存在するかという謎の解明に向けた大きな一歩となった。現在、T2K実験は反ニュートリノビームを用いた測定を開始している。なお、T2K実験は東京大学宇宙線研究所とKEKが共同で主宰している実験である。

<span class="caps"><span class="caps">K2Kコラボレーションには、スペイン、米国、カナダ、フランス、韓国、スイス、日本、ロシア、イタリア、ポーランドの10カ国から研究者が参加し、日本からは、KEK、広島大学、神戸大学、京都大学、宮城教育大学、名古屋大学、岡山大学、新潟大学、大阪大学、東北大学、東京理科大学、東京大学宇宙線研究所が参加した。

<span class="caps"><span class="caps">T2Kコラボレーションには、アメリカ・イギリス・イタリア・カナダ・スイス・スペイン・ドイツ・日本・フランス・ポーランド・ロシア、韓国の12ヶ国から約500人の研究者が参加し、日本からは大阪市立大学・岡山大学・京都大学・高エネルギー加速器研究機構・神戸大学・首都大学東京・東京大学・東京大学宇宙線研究所・東京大学Kavli <span class="caps"><span class="caps">IPMU・宮城教育大学が参加している。

※2 ブレークスルー賞
ブレークスルー賞は、2012年、サーゲイ・ブリン(Google創設者)、アン・ウォジツキー(遺伝情報解析企業23andMeの創業者)、ジャック・マー(Alibaba)、キャシー・ザン、ユーリ・ミルナー(DSTグローバル)、ジュリア・ミルナー、マーク・ザッカーバーグ(Facebookの創業者)、プリシラ・チャンという、シリコンバレーのイノベーターによって創設された。過去3年間、ブレークスルー賞は、基礎物理学、生命科学と数学の分野において、先進的であり、かつそれぞれの分野でイノベーターを触発するとみなされる研究に授与されてきた。

【本件お問い合せ先】

大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構
広報室報道グループリーダー 岡田 小枝子 
Tel: 029-879-6046
Fax: 029-879-6049
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関連サイト

ブレークスルー賞財団
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