山本 明特別教授が低温工学・超電導学会の平成26年度功績賞を受賞

2014年06月02日

2014年6月2日

受賞した山本氏
写真提供:公益社団法人 低温工学・超電導学会
5月27日、山本 明特別教授が、公益社団法人 低温工学・超電導学会の平成26年度功績賞を受賞しました。

同賞は、「長年にわたり、低温工学と超電導工学に関する学術または工業技術の進歩発展に寄与し、その功績が顕著な者」に贈られます。表彰時には、表彰委員会委員長より「山本氏は、高強度アルミ安定化超伝導線材の実現により「薄肉超伝導磁石」技術を大きく発展させ、気球によって飛翔する宇宙線観測用薄肉超伝導磁石を実現させた。さらに、欧州共同原子核研究機構(CERN)の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)における、ビーム収束・超伝導磁石システム、ATLAS実験用大型薄肉超伝導磁石の技術開発、および建設を主導し、LHCの高性能化を実現、歴史的なヒッグス粒子発見に大きく貢献するなど、超伝導応用技術を通して国際的な粒子加速器・素粒子物理学に大きな功績を残し、日本の超伝導応用技術に対する世界的な評価を高めることに大きく貢献してきた。今回の受賞は、山本氏のこれらの長年に渡る超電導技術開発への貢献が評価されたものである」旨の言葉がありました。

受賞にあたり山本氏は、「これまで、37年間に亘る超伝導技術応用・開発研究への取り組みを通してお世話になり、ともにチームとして取り組みの機会をくださった全ての皆様、それらの出会いに、深く感謝申し上げたい気持ちです。」と述べ、多くの研究開発、そしてプロジェクトの実現に取り組んできた研究生活を振り返りました。

「1977年から、順番に階段を上るように超伝導技術に携わってきました。KEKの陽子シンクロトロンでの超伝導ビームライン、TRISTAN計画のTOPAZ測定器での超伝導磁石等の開発に始まりましたが、それがスペースステーションにおける宇宙線観測での超伝導磁石の応用開発への取り組みへと繋がりました。また、加速器計画としては実現しませんでしたが、米国におけるSSC計画での粒子検出器用超伝導磁石開発に発展しました。さらに、南極での宇宙線観測実験BESS、欧州原子核研究機構(CERN)のLHC加速器を用いたATLAS実験における先端的(物質に透明な)薄肉超伝導磁石の開発と発展しました。また、KEKの陽子シンクロトロンでの加速器・ビームラインへの取り組みが、CERNのLHC加速器における超伝導磁石開発協力に発展しました。

授賞式の様子
写真提供:公益社団法人 低温工学・超電導学会
このように、一つの共通的な先端技術を通して、加速器と宇宙に関わる基礎科学プロジェクトを、螺旋階段を一歩一歩上りながら、様々な研究分野に従事することができました。その間に、様々なKEK 超伝導磁石開発グループが形成され、チームワークによる、長い歳月をかけての研究開発の積み上げにより、夫々の計画を成果に結びつけることができました。最近の7年間は、国際リニアコライダー(ILC)計画の実現に向け、その鍵を握る超伝導高周波加速空洞の技術開発に加わり、プロジェクトとしての牽引役にあたってきました。超伝導技術は加速器を中心とした基礎科学において、また社会、産業への貢献という面からも、環境に優しい必要不可欠な技術(グリーン・テクノロジー)となってきています。」

「今後も、引き続きチームワークを大切につつ、超伝導技術が粒子加速技術の主役となるILC 計画の実現にむけ、貢献できればと思います。この賞を、KEKに所属する一員として受賞させて頂いたことを誇りとし、基礎科学を支える超伝導技術・開発研究することの誇りが、さらに引き継がれていくことを願っております。最後に、改めてこれまで多くのご苦労をかけ、お世話になってきた全ての皆様と、とても名誉ある賞に推薦くださった方々に、心より感謝申し上げます。」と、受賞が次世代の研究者の方々への励ましと、更なる活躍につながることへの期待を述べました。

薄肉超伝導磁石技術
観測粒子の透過性が良く、物質的に透明、軽量、薄肉な磁石技術