2013年07月30日

KEKキャラバン、6月は東京、福岡、千葉、岩手、埼玉、茨城に派遣

2013年7月30日

KEKでは学校や社会施設などで行われる授業のサポートとして、地方自治体、NPO等の団体が企画する講習会や勉強会などに講師を派遣しています。6月は東京、福岡、千葉、岩手、埼玉、茨城で実施しました。

金沢小学校での霧箱実習の様子6月8日(土)、東京都板橋区立金沢小学校で5、6年生の児童とその保護者40名を対象に講義「素粒子とは何だろう」と、霧箱製作・観察を行いました。前半の講義では、宇宙の成り立ちや素粒子についての説明を行い、素粒子はとても小さな世界の研究であると紹介しました。そして、益川・小林博士のノーベル賞に触れ、その研究内容やその研究を支えた実験について説明しました。後半には、霧箱を製作し、全員がα線、β線の観測に成功しました。

アンケートでは、「宇宙の96%はまだ分かっていないということが印象に残りました」、「実験の概要が難しいにもかかわらず、内容が感覚的で分かり易かった」などの感想がありました。

福岡市で講演中の中本建志 准教授6月11日(火)、九州経済調査協会(福岡県福岡市)で一般の方180名を対象に、「大型加速器LHCを支える日本の技術」と題する講演を実施しました。

講演では、スイス・ジュネーブ郊外にある欧州合同原子核研究機関(CERN)が建設したLHCで必要とされた最先端技術について説明。キーテクノロジーである超伝導磁石及び極低温技術について概説しました。また、そこで日本の研究機関と企業が果たした貢献についても紹介。最後に国際リニアコライダー(ILC)建設のカギを握る、超伝導加速空洞の製造についても紹介しました。

アンケートでは、「LHCにしてもILCにしても学術的なものや国際発展的なものへ関心が行くがそれら設備を支える技術、ユーティリティの重要さを改めて思い知らされました」、「最先端の研究を支える最先端の技術に極めて日本的な技術が支えとなっていることにあらためて感銘を受けました」などの感想がありました。

松戸青少年会館で放射線測定器を使って測定する様子6月15日(土)には、松戸青少年会館(千葉県松戸市)において、小学生とその保護者12組を対象に霧箱の制作と放射線の観察を実施しました。

簡易霧箱キットを製作し、出来上がった霧箱を用いて放射線の軌跡の観察を実施しました。また、放射線測定器の展示及び天然の放射性物質を含んだもの(溶接棒、ランタンの芯など)の実測を実施。音による放射線の感知、紙等の遮へいの実施と体感なども行いました。また、エネルギーの基礎概念(運動エネルギー、位置エネルギー)、エネルギーの単位(ジュール)、仕事率の単位(ワット)、人の基礎代謝、日本人一人あたりのエネルギー消費量とその使用目的、エネルギー源などについて解説しました。

アンケートでは、「流れ星のように真ん中から外側に放射線の通ったあとが見えたのがふしぎでした」、「ふだんはみれない意外と近くにある放射線をよく観察できてよかったです。勉強になりました」などの感想が寄せられました。

金ケ崎町中央生涯学習センターの会場の様子6月15日(土)には、もう1件の派遣を実施しました。岩手県胆沢郡金ケ崎町の中央生涯学習センターにおいて、一般の方30名を対象に「リニアコライダーが開く世界 宇宙をつかまえる」と題する講演を行いました。

講演は、理科の基本である、生物、化学、地学、物理の特徴の説明からスタートしました。高校の物理で習う、運動を記述する基本方程式「運動方程式」をボールを投げる身振りを交えて解説し、「ボール、自動車、惑星、月、木から落ちるリンゴなど、すべての運動がこの式で記述出来る」と説明。惑星、月、木から落ちるリンゴまでもが同じ方程式で記述出来るのなら、宇宙全体も統一的に理解得きるのではないかと説明しました。物理の研究を行う手段としての加速器を解説し、LHCの次の加速器として期待される国際リニアコライダー(ILC)とそこで期待される「素粒子物理学の革命」について説明。また、ILCを中心として国際科学都市が出来る事への期待を語りました。

アンケートでは「宇宙に存在する物質の中で知られているものが5%、暗黒物質が27%、暗黒エネルギーが68%ということにおどろきを覚えた」、「宇宙の解明という言葉が印象に残りました」などの感想がありました。

千葉県立船橋高等学校で講演中の藤本順平 研究機関講師6月15日(土)には、さらにもう1件の派遣を実施しました。千葉県立船橋高等学校において、1年生39名を対象に「宇宙の始まり・ビッグバンと加速器」と題する講演と霧箱製作実習を行いました。

前半の講演は、KEKの紹介からスタートしました。次いで、加速器の原理について紹介。加速器がビッグバンの解明する原理について解説し、加速器の応用についても触れました。後半には、霧箱を製作し、放射線の飛跡を観察しました。霧箱のその後についてと素粒子物理学との関わりについて説明しました。

アンケートでは「素粒子の表を作るためにたくさんの人が100年もかけて努力したのを知って驚いた」、「講演で、加速器の最初の使い道から現在の使い道への移り変わりを知ることができた」などの感想がありました。

入間市で行った霧箱実験の様子6月16日(日)には、入間市産業文化センター(埼玉県入間市)で開催された第2回いるま環境フェア内で、小学生とその保護者向けに、霧箱の製作講習及び放射線に関する質疑応答を実施しました。

アンケートでは「身近に放射線があることが分かりました」、「放しゃ線が見えたのが印象に残りました」などの感想がありました。

春日部高等学校で行われた橋本省二 教授による講演の様子6月18日(火)、埼玉県立春日部高等学校(埼玉県春日部市)で、1~3年生52名を対象に「ヒッグス粒子とは何か」と題する講演を実施しました。

昨年発見されたヒッグス粒子の話題をきっかけに、素粒子を調べるというのはどういうことか、真空とはなにか、宇宙はどうなっているのか、といったテーマで講演を行いました。

アンケートでは、「素粒子のことが何となくわかったが、結局素粒子のことも完璧にわかっていないそうなので、自分でも色々考えてみたいと思った」、「KEKと聞いて粒子の話だけかと思っていたが、宇宙の話などが出てきて、一見関係ないものでも突き詰めるとものすごく深い関係があるんだと感じた」といった感想がありました。

星美学園中学校で講演する宇佐美徳子 研究機関講師6月22日(土)、星美学園中学校(東京都北区)で、中学3年生72名を対象に、「英語で分光器をつくろう」という、ポケット分光器を製作し、光の性質を学ぶ実習を行いました。この授業は国際プログラムの一部として行われたものです。

1時間目には、光の性質や分光器の原理、およびそれらの英語での表現について説明。2時間目に、英文で書かれた説明書を見ながら分光器製作実習を行い、いろいろな光源の観察を行いました。また、赤と緑のレーザーポインターを使って、演示実験も実施しました。

アンケートでは、「物は光の色を吸収して私達の目に映っているというのが印象に残りました」、「虹のしくみがよく分かりました」などの感想が寄せられました。

岩手県北上市の市民交流プラザで講演中の横谷馨 名誉教授6月25日(火)、岩手県北上市の市民交流プラザで、一般の方、60名を対象に、「宇宙誕生の謎に挑む国際リニアコライダー計画(ILC)の概要」と題する講演を実施しました。

ILCはどのような施設か、ILCで何がわかるか、ILCができると、どのような研究所・町ができるのかなどについて説明しました。

アンケートでは、「ヒッグス粒子という言葉が印象に残りました」、「宇宙のはじめの素粒子をさぐる、夢のある、面白い研究と思いました。その研究がどんな事に役立っていくのかも詳しく知りたいと思いました」などの感想がありました。

古河市立中央小学校での講演の様子6月28日(金)、古河市立中央小学校(茨城県古河市)で、1年生~6年生514名を対象に、「ほうしゃせんってなんだろう?めにみえないからきけんなのかな?」と題する講演を実施しました。

茨城県の「実践的防災教育総合支援事業」のモデル校指定に基づいた防災・避難訓練の一環として講演。放射線について基本的な理解が深められるように説明しました。また、霧箱のデモンストレーションを実施しました。

講演後に教員対象に実施したアンケートでは、「『放射線は身近なものである』という言葉が印象にのこりました」、「目には見えない放射線の存在を実際に見られるものに例えて説明されたので分かりやすかったです」などの感想がありました。

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