スパコンユーザが仁科記念賞を受賞

2012年12月28日

2012年12月28日

12月6日(木)、東京大学小柴ホールで仁科記念賞授賞式が行われ、KEK大型シミュレーション研究の共同利用研究者である、青木慎也 筑波大学教授、初田哲男 理化学研究所主任研究員、石井理修 筑波大学准教授らが表彰されました。仁科記念賞は、日本の現代物理学に大きな功績を残した仁科芳雄博士を記念し、原子物理学の基礎とその応用の分野において優れた研究業績をあげた研究者を表彰するものです。

受賞者(前列)と財団関係者(後列)の記念撮影。左から2人目が石井准教授、4人目に青木教授、6人目が初田主任研究員。2012度はほかに、東北大学・井上邦雄教授「地球内部起源反ニュートリノの検出」(右端)、東京工業大学・細野秀雄教授「鉄系超伝導体の発見」(右から3人目)が仁科記念賞を受賞しました。提供:筑波大学計算科学研究センター

2006年~2011年まで稼働していたBleu Gene/L青木氏、初田氏、石井氏の受賞対象となった業績は「格子量子色力学に基づく核力の導出」です。従来は原子核の性質を説明するために仮定しなければならなかった核力の様々な性質を、量子色力学という基本法則に基づく「格子量子色力学の大規模数値シミュレーション」によって、導き出す道を開いたものです。計算物理学分野での同賞の受賞は、日本の同分野を開拓した、岩崎洋一氏(当時筑波大学物理学系)、宇川彰氏(当時筑波大学物理学系)、大川正典氏(当時高エネルギー物理学研究所)、福来正孝氏(当時京都大学基礎物理学研究所)による1994年の「格子量子色力学の大規模数値シミュレーションによる研究以来。岩崎氏らの研究を推し進め、基本法則に基づいた計算によって物理量を求められるようになったことは、素粒子物理学のみならず、原子核物理学にも大きな影響を与えています。この研究は、KEKが実施しているスーパーコンピュータの共同利用プログラム「大型シミュレーション研究」のもと、2006年度から2011年まで運用されていたスーパーコンピュータ「Blue Gene/L」を用いて行われました。

研究責任者の初田氏は「湯川秀樹博士が中間子論を提唱して以来、核力研究は国内の素粒子、原子核研究者によって大きく発展してきました。この研究は、核力を現代の基本法則である量子色力学の観点から再定式化し、スパコンで大規模計算をおこなった成果です。特にBlue Gene/Lをテスト運用の段階から本格利用させて頂けたことは、この研究の進展の本質的な要素でした」と語りました。

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