2012年12月15日

国際リニアコライダーの設計報告書ドラフト完成 提出セレモニーを東京で開催

2012年12月15日

ILC国際研究チーム プレスリリース日本語仮訳

【東京 12月15日(土)】国際リニアコライダー(ILC)設計報告書完成発表会が開催され、設計チームの上位機関にあたる「ILC運営委員会(ILC Steering Committee: ILCSC)」のジョン・バガー議長へと最終ドラフトが手渡されました。このドラフトは、長年にわたる研究開発と一連の技術レビューを経て完成したものです。ILCは、欧州合同原子核研究機関(CERN)で行われている素粒子物理実験を補完し、さらに進展させるための後継加速器として期待されている装置です。今回のドラフト提出は、ILCの最終設計完成に向けた大きな一歩となるものです。

「ILCSCはこのドラフトを快く受諾します。ILCSCはこれまでILCの研究開発活動の監督を行ってきました。今回提出された設計が信頼性の高いものであると確信しています。今後TDRの精査を行い、フィードバックを行うことになります」とバガー氏は述べました。

式典では、国際共同設計チーム(GDE)のディレクターであるバリー・バリッシュ氏と、ILC実験管理組織の責任者(リサーチ・ディレクター)である山田作衛氏が国際研究チームを代表して、加速器、測定器の研究開発と詳細検討の経緯を解説しました。高加速勾配での超伝導RF加速技術や最先端の測定器技術など、ILC建設に必要とされる技術は、ILCの建設を政府に対して提案できるレベルに達したということができます。

"GDEディレクターのバリッシュ氏は「本日、TDRを提出したことはILCにとって非常にエキサイティングなことです。我々のマンデートであった『ILC建設に向けた最終設計の基礎づくり』が完了し、我々は建設開始の準備が完了した、といえるのです」と、述べました。

リサーチ・ディレクターの山田作衛氏は「世界中の若手研究者たちが、測定器の設計や試験、そしてILCが挑む物理を解明するための計算やシミュレーションに熱心に取り組んできました。これらの努力が報告書として実を結んだことを目にするのは意義深いことです」と述べました。

式典では、第一巻「ILCの物理」、第二巻「加速器(パート1及び2)、第三巻「物理と測定器の詳細ベースライン設計」の三巻構成の報告書が提出されました。TDRのコストに特化した章については、来年1月に独立したレビューが行われます。レビューの結果は、2月にカナダ・バンクーバーで開催されるILCSCの会合で報告される予定です。同会合は、ILCSCと、ILCの研究開発活動を引き継ぐ新組織「リニアコライダー・コラボレーション」を新たに監督する「リニアコライダー委員会(Linear Collider Board)」が合同で行います。リニアコライダー・コラボレーションは、同会合より正式にリニアコライダー研究開発推進の中心となります。リニアコライダー・コラボレーションは、2つの衝突型加速器計画「ILC」に加え「CLIC」もその傘下の計画として推進することになります。全てのレビュー完了後、TDRの最終版は、来年6月に将来加速器委員会(ICFA)に提出される予定です。

TDRの加速器に関する巻は、これまでのR&Dの成果を集約し、ILC設計案を提示するものです。また、実験管理組織のとりまとめた2巻では、研究開発の過程で達成された多くのマイルストーンが明示されており、採用した技術によって、ILCでの研究で要求される非常に高い性能を満たすことができることを示しています。

来年3月から新組織のディレクターとしてリニアコライダー・コラボレーションを率いるリン・エバンス氏も、式典に参加しました。エバンス氏は式典に先立ち、12月13(水)、14(木)日に高エネルギー加速器研究機構(KEK:茨城県つくば市)で行われたプロジェクト諮問委員会の議長として、TDRの最終技術レビューを完了しました。

エバンス氏は「TDRで提示されたこれまでの成果に感銘を受けています。次のフェーズへと進展するILC、CLICの2つのリニアコライダー研究グループを、これから率いて行くのが楽しみです」と述べました。

Contact:
ILC global communication team:
communicators@linearcollider.org

In Japan:
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TEL+81-29-879-6247

連絡先:
ILC国際研究チーム 広報担当:
communicators@linearcollider.org

日本担当:
高橋 理佳 アジア担当ILCコミュニケータ
TEL 029-879-6247

国際リニアコライダーとは
国際リニアコライダーは、計画中の次世代電子陽電子衝突型加速器である。素粒子である電子と陽電子を加速して衝突させ、宇宙初期と同様な純粋な高エネルギー状態を再現。そこから生まれる様々な素粒子を超精密測定器で調べることで、ダークマター、ダークエネルギー、余剰次元、物質、エネルギー、空間、時間の基本的性質といった、21世紀の素粒子物理の課題を解明することを目指す。ILCは設計、予算拠出、運営から運用に至るまで、国際協力科学プロジェクトとして推進される。ILCは現在稼働中の大型ハドロン衝突加速器(LHC)とは相補的な関係にあり、LHCで発見された新現象を精密に調べることができる。
詳しくはILCのウェブサイトをご覧下さい。

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※本記事はILC国際研究チームによるプレスリリースの日本語仮訳をお届けするものです。
※この発表会は、ILC国際共同設計チーム(GDE)、ILC実験管理組織(RD)、先端加速器科学技術推進協議会およびKEKの共催で開催されました。