2012年01月16日

竹村謙一氏 日本高圧力学会賞を受賞

2012年1月16日

2011年11月10日(木)に沖縄キリスト教学院大学(沖縄県中頭郡西原町)で開催された第52回高圧討論会において、長年KEKのフォトンファクトリーを用いて研究を行った竹村謙一氏(物質・材料研究機構先端材料プロセスユニット主席研究員)が日本高圧力学会賞を受賞しました。この賞は高圧力の科学・技術の進歩に貢献し、内外から高い評価を受ける顕著な研究成果を収めた研究者に贈られるものです。

image_01.jpg図1 ダイヤモンドアンビルセル
中央のダイヤモンドで試料を挟み、圧力をかける。

受賞対象となった研究は「DAC基盤技術の開発と元素の構造相転移の研究および状態方程式の決定」です。DAC(ダイヤモンドアンビルセル)は、高圧力下の物質の構造と物性を調べるために使われている小型高圧装置で、2つのダイヤモンドの間に試料を挟み圧力をかけます(図1)。竹村氏は日本におけるDAC開発の初期段階から装置の改良と周辺技術の確立に携わり、超高圧力の安定発生と試料の形状によらずあらゆる方向から等方的に加圧できる環境「静水圧環境」を可能にしました。

竹村氏はその高圧発生技術を用いて、フォトンファクトリーのビームライン旧BL-13A(現在はAR-NE1Aに移転)と18Cにおいて高圧下の元素の構造研究を行いました。高圧下でやわらかい結晶となるヘリウムを用い、静水圧環境を実現して行ったヨウ素の高圧粉末X線回折実験では、結晶内のヨウ素が分子(I2)からバラバラの原子(I)となる過程で分子と原子の中間的な配位「非整合変調構造」をとることを明らかにしました。この成果により、高圧物性を議論する上で静水圧環境がきわめて重要であることが示され、ヘリウム圧力媒体を用いた高圧研究が世界中に急速に広まりました。竹村氏が開発した物質・材料研究機構の高圧ガス充填装置は、現在も多くの高圧研究者に使われています。またその他にも、セシウム、亜鉛、インジウム、ガリウム、マンガン、オスミウム、ニオブ、水銀、金等、多くの元素の構造相転移の発見、高圧相の構造決定、ならびに状態方程式の決定を行い、その仕事は国際的に高く評価されています。

image_02.jpg図2 高圧下のヨウ素の結晶構造変化。25GPa付近に非整合変調構造が見つかった。

関連サイト

フォトンファクトリー 高温高圧実験ステーション
放射光科学研究施設 フォトンファクトリー