震災によるMLFミュオン実験停止課題 海外施設にて実施

2011年10月20日 トピックス

2011年10月20日

3月に発生した東日本大震災の影響により、J-PARC/物質・生命科学実験施設(MLF)では予定していた共同利用実験を中止せざるを得ない状況となりました。この運転停止期間に予定されていた実験課題については国内外の研究施設で受け入れていただくことができ、9月に実施された中性子利用の振り替え実験に引き続き、ミュオン利用の振り替え実験が行われました。

英国ラザフォード・アップルトン研究所(RAL)のミュオン科学研究施設ではMLFで実施予定だった課題12件の受け入れが決定しており、10月5日から、6件の実験課題について実施されました。実験はRIKEN/RAL port 2(ARGUS spectrometer)を用いたミュオンスピン緩和測定*1)で、KEK物構研の下村グループと原子力機構のミュオングループとの共同実験を皮切りに、豊田中研の杉山グループの実験、KEK物構研門野ブループと東大物性研の佐藤グループの共同実験、総合科学研究機構(CROSS)の大石グループの実験と続き、31日まで実施される予定です。

これらの実験は共同利用実験の振り替えという観点から技術支援を行い、J-PARC/MUSE*2)が一丸となって、共同利用実験を行っています。下村准教授はこの実験実施にあたり「RIKEN/RALとISISスタッフの協力により、無事に予定通りの実験を終えることができ、感謝しています。」と語りました。残り6件の課題についても、今後RALにて続き振り替え実験が行われる予定です。

muon_image_01.jpg 豊田中研グループの実験の様子。野崎洋博士(豊田中研)と小嶋健児准教授(KEK物構研)

image_02_muon.jpgFrancis Pratt (ISIS, RAL)がデータ収集系の説明をしているところ。 説明を聞くJ-PARCユーザー:右から船守展正准教授(東大理)、佐藤友子助教(広島大理)と小嶋健児准教授(KEK物構研)

補足説明

*1)ミュオンスピン緩和測定(μSR法)
加速器によって得られるミュオン(μ+)を用いた磁気測定手法。ミュオンを試料に打ち込み、ミュオンの小さな磁石としての性質(スピン)を利用して磁気秩序を検出する。ミュオンは材料全体にわたってほぼ均一に導入されることから、強磁性が試料内に一様に発現しているかどうか知ることができる。

*2)MUSE
J-PARCにあるミュオン科学実験施設(MUon Science Establishment)。世界最高強度のパルスミュオンビームを利用できる施設として、2008年より稼働している。

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関連サイト

J-PARC物質・生命科学実験施設
ミュオン科学研究施設
理研RAL ミュオン施設