2011年09月22日

【高校生等実習受入事業】全国から高校生らがKEKを訪問

2011年9月22日

夏休み期間中「高校生等実習受入事業」の高校生らのKEK訪問がラッシュを迎えました。7月下旬は、千葉市立千葉高等学校、大阪教育大学附属高等学校天王寺校舎、岩手県立水沢高等学校、栃木県立宇都宮女子高等学校の4校の生徒が、相次いでKEKを訪れました。また8月には福島県立原町高等学校、岩手県立一関第一高等学校、宮城県仙台第三高等学校、岩手県一関市の中学生研修の一行、埼玉県立川越高等学校が来訪しました。

実習プログラムは、解体中のBelle測定器やKEKB加速器、放射光科学研究施設(PF)、超伝導RF試験施設(STF)、先端加速器試験施設(ATF)、機械工学センターなど、KEKの施設を見学と、放射線を肉眼で見ることの出来る装置「霧箱」や宇宙線観測装置の製作から構成されており、学校によってはKEKの研究者の講義も行われ、盛りだくさんの一日を過ごしました。

20110916_jisshu_c.jpg霧箱観察中7月22日(金)は、千葉市立千葉高等学校の1年生32人が訪れました。千葉高校の実習参加はこれで2回目になります。引率の小原稔先生(千葉高校)によれば、KEKでの実習参加をきっかけに、素粒子論や宇宙論に興味を持って進路を決定した生徒がいたそうです。今年の参加者も「宇宙のことに関心を持てました」「実験をしているところを見てみたかったです」などと感想を述べる生徒も多く、加速器を使った研究に対する関心が喚起されたようです。

20110916_jisshu_t.jpg改造中のBelle測定器の前で7月27日(水)には、大阪教育大学附属高等学校天王寺校舎の1年生19名が来訪しました。同高も昨年に続く実習への参加となります。参加生徒らは「もっと見学や講義の時間が長くても良いと思いました」「未知の物質が解明できるなら、これから行われる加速器実験にぜひ参加したいと思いました」などと述べ、難しい内容ながら楽しく学んだ様子でした。

20110916_jisshu_m.jpg素粒子壁画の前で7月28日(木)は、岩手県立水沢高等学校の2年生24名がKEKを訪れました。参加者の中には中学生の時にもKEKを見学したことのある生徒もいて「3年前よりも施設や講義について理解することができ、とても楽しかったです」とより理解を深めたようです。初めて訪れる参加者の中には「施設の巨大さに圧倒されました」と、多くの生徒が加速器の大きさに驚いていました。

20110916_jisshu_u.jpg講義「研究者の道」7月29日(金)は、栃木県立宇都宮女子高等学校の2年生19名が訪れました。「加速器や測定器がアーティスティックで驚きました」と、女性ならでは、の視点からの感想が聞かれました。霧箱製作の実習に加え「研究者の道」と題した講義も行われ「研修がなければ多分全く興味を持たなかった分野。今回の研修ですこし興味を持てました」「研究者は皆楽しそう」と、多くの生徒が今回の研修が進路の参考になったとコメントしています。

20110916_haramachi.jpgKEkB加速器を見学する原町高校の一行8月1日(月)、福島県立原町高等学校2年生10名が訪れ、施設の見学と霧箱製作実習を行いました。KEKの施設について「まるで映画のセットの中にいるようでした」と感想を述べる生徒もいました。また「やさしい相対性理論」の講義には「初めて聞く相対性理論の話なので難しかったです」と苦戦した様子でした。

20110916_ichinoseki_high.jpgリニアコライダーに関する講義を受ける一関一高の生徒ら8月3日(水)には、岩手県立一関第一高等学校の1年生8名、2年生10名が実習を受けました。生徒たちは、先端加速器施設を中心に見学し、宇宙線観測の実習を行った後「リニアコライダーで探る宇宙のデザイン原理」と題する講義を受講しました。教員を目指しているという生徒からは「今日得た理科の面白さをしっかりと伝えられる教員になりたいと改めて感じました」との感想が聞かれました。

20110916_sendai.jpg実習をまとめた発表を行う仙台三高の生徒8月5日(金)、宮城県立仙台第三高等学校の1年生19名、2年生18名が訪れました。放射光科学研究施設の見学をはさんで、午前中と午後の2回にわたり宇宙線や放射線の観測の実習を行い、最後には実習結果をまとめたて発表しました。「実習はとても面白かった。でも、その後のまとめは難しかったです」と短時間で発表資料をまとめるというレベルの高い課題には少し苦労した生徒もいたようです。また「将来、宇宙線や放射線について学んでみたいと思いました」という感想も聞かれました。

20110916_ichinoseki_JH.jpg講義を受ける一関市の中学生ら60名 8月9日(火)には、岩手県一関市内の中学校から集まった2年生60名がKEKを訪れました。3班に分かれて施設を見学した後、霧箱製作の実習を行い「宇宙をつかまえる」と題した講義を受講しました。「将来このような仕事をしてみたいと思いました」「将来の参考になりました」と感想を述べる生徒も多く、また「万有引力とか、相対性理論とかが覆ると面白いのに!」と物理学の進歩に期待する生徒もいました。

20110916_kawagoe.jpg霧箱で放射線を観測する川越高校の生徒 8月19日(金)には、埼玉県立川越高等学校から1年生30名、2年生6名が来訪しました。施設見学と霧箱製作実習のほか「宇宙をつかまえる」「放射線と生命」の2つの講義を受講しました。多く寄せられた感想が「学校で習わないことなのでとても面白かった」というものでした。「高校で学ぶのはニュートン力学で素粒子の勉強はしないので、理系に進もうとする者にとっては、現在の物理学研究を理解することが、進路の参考になる」という意見もありました。

KEKでは、学校では体験しがたい研究の現場を肌で感じとるとともに、ものつくりなどの体験から自然科学への興味をもつきっかけとなることを目的として、毎年実習を希望する中学校・高校を募集しています。今年度は17校がKEKを訪問する予定です。