2011年09月01日

KEKキャラバン、中央区民カレッジにて実施

2011年9月1日

5月20日(金)から7月1日(金)まで、東京都中央区立築地社会教育会館にてKEKキャラバンによる出前授業を行いました。「加速器科学入門~がんの治療から宇宙の解明まで~」と題した全4回の連続講座には、およそ30名の受講生が集まりました。

「がんの治療などで活躍する加速器とは」がテーマの第一回目の講座では、加速器と社会の関わりについて、実例を交えながらの紹介がありました。また、加速器の原理と放射線の基礎についても説明が行われました。

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第一回目の講義中の様子。講師をつとめたのは、加速器研究施設の諏訪田剛准教授。

第二回目の講座では、「宇宙の謎を解く加速器」のタイトルで、自然の階層性から始まり、極微の世界の研究における加速器の必要性、加速器の原理と種類及びそれぞれの特徴を説明し、現段階における素粒子世界の理解、即ち、標準理論の簡単な解説を加えました。大きな世界、宇宙の観測と、小さな世界、素粒子の研究が密接な関連を持ち、相補的な役割をはたしながら宇宙の謎の解明に突き進んでいることを説明しました。

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第二回目の講義中の様子。第二回と第四回の講師は、素粒子原子核研究所の真木晶弘名誉教授。

第三回目のテーマは、「生命の働きや物質の仕組みを解き明かす加速器」。冒頭で加速器の応用分野についての全体像の紹介が行われました。続いて、核反応、核分裂の話をし、原子炉、放射線障害についての説明がありました。その後、放射光、イオンビーム、中性子線、ミューオンが社会生活にどのように応用され成果を上げているか、同時に最新の実験および計画についての紹介がありました。

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第三回目の講義中の様子。講師をつとめたのは、加速器研究施設の佐藤皓名誉教授。

「日本から世界へ」がテーマの第四回目の講座では、円形加速器と線形加速器の長所・短所の説明、標準理論における基本粒子とハドロンの関係及び反粒子についての解説を行いました。また、ヒッグス粒子探索と標準理論を越える現象の発見について、国際協力の重要性とそこにおける日本の立場及び役割、B物理およびニュートリノ研究における日本の先進性について説明しました。そのほか、得意技術を生かした欧州合同原子核研究機関(LHC)での貢献とILC準備研究における日本の指導的役割なども紹介しました。

講座後のアンケートでは、「加速器はこれからすごく活躍するのだろうということはなんとなくわかってきました。実験の場所を見てみたい」、「他に負けないで日本の特技をいかして夢を実現して、がんばってほしい。研究している方々に頭が下がりました」などといった感想が寄せられました。

KEKでは学校や社会施設などで行われる授業のサポートとして、地方自治体、NPO等の団体が企画する講習会や勉強会などに講師を派遣しています。詳しくはKEKキャラバンをご覧ください。