虫歯の病原因子である酵素グルカンスクラーゼの立体構造を解明

2011年02月23日 トピックス

2011年2月23日

静岡県立大学の伊藤圭祐助教、伊藤創平助教らは、虫歯の病原因子である酵素「グルカンスクラーゼ(GSase)」の立体構造をKEKフォトンファクトリーのNE3A、BL-5Aを用いて世界で初めて明らかにしました。

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出典:Journal of Molecular Biology

GSaseの阻害剤であるアカルボースとの結合構造

サブサイト-1のアミノ酸残基は既知のアミラーゼと類似していた。
一方、サブサイト+1、+2、+3のアミノ酸残基は大きく異なっていた。

GSaseは口腔中に存在するストレプトコッカス・ミュータンス菌に由来する酵素で、砂糖から歯垢の基になる粘着性多糖グルカンを合成することから、虫歯発症の原因として知られています。したがって、GSaseのはたらきを阻害することは虫歯の予防に効果的であり、たとえば緑茶カテキン等のポリフェノール類に阻害効果があることが報告されています。しかし、GSaseによく似た酵素が口腔中や小腸等にも存在するため、これらの類似酵素のはたらきを阻害しないためには、分子レベルの精密な立体構造の情報が求められていました。

研究グループは、膜タンパク質の結晶化で効果をあげている界面活性剤を利用することでGSaseの結晶化に成功、高分解能で立体構造を解明することに成功しました。また、阻害剤や基質等が結合した状態の構造解析も行い、この酵素が働くメカニズムを分子レベルで解明しました。この成果により、より選択性が高く効果の強い阻害物質の探索・設計が可能になり、虫歯の予防への貢献が期待されます。

この成果は、米国の科学誌Journal of Molecular Biologyのオンライン版で近日中に公開されます。