第1回ILCベースライン・アセスメント・ワークショップ開催

2010年09月22日 トピックス

2010年9月22日

9月7(火)~10日(金)の4日間、KEKで第1回ILCベースライン・アセスメント・ワークショップが開催されました。

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国際リニアコライダー(ILC)の国際共同設計チーム(Global Design Effort: GDE)では、2012年末に予定されている「技術設計報告書(Technical Design Report: TDR)の完成に向け、R&Dを進めています。現在GDEでは、大型科学プロジェクトの推進でしばしば問題となる「コスト超過問題」に対応すべく、2007年にまとめられた基準設計報告書(Reference Design Report: RDR)で定めたベースライン設計を見直し、ILC設計全体のコスト-性能-リスクの最適化を図る活動が進められています。ベースライン・アセスメント・ワークショップは、プロジェクトの様々な分野における精査を行う会議で、第1回となる今回のワークショップには、米欧アジアから63名の研究者が参加。前半2日間は加速器トンネルや地上施設、およびそれに関連した高周波装置などの設計について、後半2日間は超伝導加速空洞の加速勾配について、建設的な議論が重ねられました。

ベースライン見直しの大きな課題のひとつは「シングルトンネル案」の検討です。RDRでは、ビームラインを設置するメイントンネルとクライストロン等を収納するサービストンネルの2本のトンネルを並行して配置する「ダブルトンネル」設計が採用されています。クライストロンは、電子陽電子ビームを加速する高周波加速空洞に、高周波電力を供給する装置。シングルトンネル設計を採用する場合は、RDRでサービストンネルに収納する予定であったクライストロンの配置を再検討する必要があり、前半2日間に集中して議論が行われました。

後半2日間に議論された超伝導加速空洞はILCの心臓部とも言える要素で、将来的な様々な技術波及も期待されています。超伝導加速技術は米欧アジアの各国で研究開発が進んでおり、その性能は着実に向上しています。今回のワークショップでは、各国の開発の現状確認を行ったうえで、RDR設計の加速勾配(一定の長さで加速して得ることのできるエネルギー)について、製造時の歩留まりや加速器運用時の加速勾配について再検討し、短期・中期的な目標の再設定を行いました。

次回のBAWは、来年1月に米国SLAC国立加速器研究所で行われる予定です。