第9回 サマーチャレンジ開催される

2015年9月8日

8月18日(火)から26日(水)までの9日間にわたり「第9回 大学生のための素粒子・原子核、物質・生命スクール サマーチャレンジ」が開催されました。サマーチャレンジは、KEK、日本中間子科学会、高エネルギー物理学研究者会議、原子核談話会、PF-UAが主催・共催するサマースクールで、主に大学3年生を対象に、日本の将来の基礎科学を担う若き知の育成を目的として毎年8月にKEKつくばキャンパスで開催するものです。この期間、研究最前線で活躍する研究者による講義やKEKの施設見学が行われます。なかでも、演習は研究者から直接指導を受けながら実験や解析を行い、最後に発表するという研究の一連の流れを体験することができます。今年は全国33大学から79名の大学生が参加しました。

集合写真

天野浩教授(名古屋大学)の講義開校式では、岡田安弘KEK研究担当理事より「実際の研究もグループで行うことがほとんどです。仲間と大いに議論して楽しい9日間にしてください」との言葉とともにサマーチャレンジが開幕しました。その後2014年のノーベル物理学賞を受賞された天野浩教授(名古屋大学)による「次世代を築く皆さんへ」と題した特別講義が行われました。学生時代の話や、研究者として感激したことなどのエピソードを話されました。学生には、研究者としてやりたいことを自分で決めることが大事、とのメッセージが送られました。講義は連日、放射線、素粒子、加速器、統計、物質科学、生命科学など多岐にわたります。

研究者が実際に使っている装置や施設の見学も行われました。つくばキャンパスでは、今しか見ることが出来ない改造中のSuperKEKB加速器とBelle II測定器やフォトンファクトリー。東海キャンパスではJ-PARC加速器中央制御室、 物質・生命科学実験施設、ニュートリノ実験施設、ハドロン実験施設を第一線で活躍する研究者のガイドで見学しました。色とりどりの配線や、配管のつながった装置、巨大なマグネットや検出器を目の当たりにし、ビッグサイエンスの場を実感した様子でした。ランチタイムや見学中にも研究者にどんどん質問をする学生の熱心な姿が見られました。

KEKBからSuperKEKBに改造中の加速器

J-PARC物質・生命科学実験施設

また、サマーチャレンジの目玉である演習は、素粒子・原子核コースでは8つ、物質・生命コースでは6つ実施されました。演習では大学やKEKの研究者が設定、準備したテーマに基づき、 参加学生が自分たちで実験を行います。検出器の組み立てや測定を行い、取得したデータに対して、自ら議論し考えることを重視して進められます。

物質・生命コースでは、12月にも放射光を利用した実験を行う予定です。夏の間は、加速器の運転を停止しているため、実際の量子ビームを利用することができません。およそ3か月後、再び集まり、サマーチャレンジで作成した試料や学んだ測定・解析法を利用して量子ビームのいわば実践を行います。

素粒子・原子核コースの演習の様子。ポジトロニウムが生成した時の時刻の決め方を思案中。

物質・生命コースの演習の様子。質量分析器の構造を確認しながら分解しているところ。

キャリアビルディングの様子期間中には、進路について悩みや経験談を聞くキャリアビルディングというパネル討論も行われました。公的研究機関の他、大学や企業での研究も含め、それぞれの研究生活について知る良い機会となりました。学生からは「大学院は外に出た方が良い?」や「海外に行くタイミングや国、地域によってその後の研究の有利、不利はありますか?」といった質問が出ました。留学や、進学については、金銭的な質問や具体的な相談が多く見られ、パネラーからは「まずは自分が絶対にドクターをどうしても取るんだという覚悟をもつということ。熱意は先生や周りの人に伝わるし、相談すれば自ずとサポートは来ます」と温かい回答がありました。また研究だけでなく、結婚や出産、育児との両立に関する質問も多く見られました。

この様な場だけでなく、演習に参加しているティーチングアシスタントの学生に対しても、年齢の近い先輩として、進路や研究活動について質問する姿も目立ちました。ここ数年、ティーチングアシスタントの学生には、サマーチャレンジ卒業生も見られるようになり、サマーチャレンジの輪が着実に繋がっていることが伺い知れます。彼らはほとんど終日時間を共有し、難しい課題に協力して挑み、強い絆が育まれます。

最終日には、演習グループごとに実験と成果をまとめた発表会を行いました。単に実験をこなすだけでなく、ポイントを整理し、資料を作り、人に説明すること、聞くことも研究者として重要な要素となります。尽きない議論は、ポスターセッションへと続きます。

発表会の様子

ポスターセッションの様子

修了証を手に、演習担当の先生、宮本彰也校長、五十嵐教之副校長先生、山内正則機構長と修了式では山内正則機構長の直筆サインの入った修了証書が一人一人に手渡されました。「大変、充実した9日間であったと思います。実験や計算がうまく行くことも、行かないこともあったことでしょう。実際の研究でも多々あります。苦労してやり遂げた仲間と経験は、大いに自信につながるでしょう」との言葉が送られました。

他では味わえない9日間を過ごした学生は皆、晴れやかで達成感に満ちた表情に満ちていました。

関連サイト

サマーチャレンジHP

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